吉田羊が女性陪審員役 「苦しくもがく姿に自分重ね」

12人の女性陪審員を描いた舞台「ザ・ウェルキン」で主演する。陪審員の一人、助産婦のエリザベス(リジー)役だ。「ただの善意の人ではない。階級社会や男性社会に警鐘をならして正義の旗を振るけれど、真意は別のところにあるのではないか。手ごわいけれど、彼女の泥臭さが自分に通じると思うから挑戦できた」
舞台は18世紀の英国。妊婦は死刑が免じられる制度を背景に、女性殺人犯の妊娠について判断を下す。出産経験などをもとに審議が進む中、陪審員の私欲も見え隠れする。リジーは複雑な思いを抱えながら、殺人犯を助けるべく奮闘する。
仕事を受ける決め手は役への共感だ。「苦しくもがいて立ち回るリジーに、自分が重なったんです。私には『一生かけて優しい人になる』という目標がある。これが本当に難しくて、私利私欲を優先することは多々あるし、自分の都合で判断して落ち込むこともしばしば。でも、間違ったり迷走したりしても、優しくいたいという気持ちの純度だけは保ちたい。そうやってあがくのが私の人生なのかなと思っています」
ファッションが大好きで役作りにも生かされる。「お洋服は自己紹介のようなもの」で、例えば髪の長さやセットのありなしで「朝の身支度のルーティーン」に思いを巡らせる。「役作りの大半は日常を想像すること。ファッションを考えれば演じやすくなる」
今回は自身の衣装も「血を扱う仕事なので、シミが気にならないくすんだカーキなどの色味はどうか」とアイデアを出して採用された。「着るのが楽しみでワクワク」と爽やかに笑った。上演は7月7~31日、東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーン。
(佐々木宇蘭)