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辻村深月「子供の頃の違和感、大人の視点で」、長編刊行

「子供の時間と大人の時間は断絶していない」と話す辻村深月

「子供の時間と大人の時間は断絶していない。そう感じられたことで、長年書きたかった小説にやっと取り組めました」。作家の辻村深月(41)は6月上旬刊行の長編「琥珀(こはく)の夏」(文芸春秋)についてそう話す。「記憶・思い出をテーマに、子供の頃の違和感を大人の視点で描いた」今作は新たな挑戦となった。

カルト的集団と目された〈ミライの学校〉の跡地から子供の白骨遺体が見つかる。30年前、そのサマースクールに通った経験を持つ弁護士の法子は、遺体が自分の知るミカという少女ではないか、との思いにとらわれる。当時を忘れて成長した少女と、記憶の中に閉じ込められた少女。2人の物語は法廷へと向かう。

「世界にはあらかじめ正解があるという考え方は捨てました」。少女の視点で描かれた過去パートでは、子供たちにとって幸せとは何か、という問いが示される。現代パートで、同業者の夫を持つ法子が、娘の子育てに苦労する場面なども同様だ。

執筆中、登場人物たちと一緒になって考えることで「どこに向かうかは彼女たちに決めてもらった」。それが複雑な感情をすくいとることにつながる。〈ミライの学校〉に関しても「(距離を置いた)広い視野で見たら怪しく感じるだろうが、そうは決めつけないように心掛けました」。

2004年、24歳で作家デビュー。「鍵のない夢を見る」で直木賞、「かがみの孤城」で本屋大賞を受賞するなど、順風満帆の歩みに見える。もっとも本人は「平均点以上を狙って得意なことだけをやるのではなく、新しいものに取り組みたい」と気を引き締める。それは何を書いても「辻村ワールド」になるという自信の表れでもあろう。

(中野稔)

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