eSIM、Wi-Fi、テザリング 突然の通信障害に個人で備え

KDDIで2日に起きた大規模通信障害で、スマートフォンが使えず困惑した人も多い。同様の障害に遭遇しても、街中で電波を確保したり、接続せずにスマホを活用したり、備える方法がある。通信・通話のほか買い物やチケットなど、いまやあらゆる場面でスマホが手放せないなか、備える重要性は増している。自然災害などで通信障害が起きた場合への対処にも活用できる。
eSIMで2回線目を契約しておく
オンラインで端末の契約者情報を書き換えられる「eSIM(イーシム)」に対応したスマホを使っている場合、端末によってはまさかに備えた2回線目をあらかじめ契約しておくことが可能だ。1つのスマホ端末に電話番号が2つ割り振られているようなイメージだ。
例えばアップルのiPhoneシリーズの最近の機種は、通信会社との契約に使うSIMについて物理的に抜き差しするICチップ「SIMカード」と「eSIM」それぞれの機能を備えている。SIMカードをメイン回線、eSIMをサブ回線に割り振る、といった使い方が可能だ。2回線目に格安スマホの最安プランなどを選べば月額数百円から申し込める。
ただ2回線目のサービスを選ぶ際、メイン回線とは別のキャリアが提供している回線かの確認が不可欠だ。格安スマホ各社は、ドコモやKDDI、ソフトバンクの大手各社から通信回線を借りているためだ。今回のKDDIの通信障害では、「au」のほかau回線を使っている「UQモバイル」などでも音声通話とネット通信がつながりにくくなった。
公衆Wi-Fiを探す、テザリングで接続
コンビニエンスストアや商業施設、飲食店などが提供する公衆無線LANのWi-Fiを探せば、街中で通信はできる。回線が確保できればLINEなどの対話アプリ内の電話機能などで音声で連絡を取ることもできる。
通信障害が起きた回線と別な回線を使っている友人や家族が身近にいた場合、「テザリング」という機能を使って電波を共有することが可能だ。回線がつながっているスマホをインターネットにつなぐ親機として、手持ちのスマホをネット接続できる機能。使用にはIDやパスワードが必要なため、テザリングしてくれる相手の協力が必要となる。
交通系ICは利用可能、一部券売機でチャージも
通信障害が起きてもモバイルSuica(スイカ)やモバイルPASMO(パスモ)といった交通系ICサービスは、事前にチャージされている残高分については利用することが可能だ。定期券の範囲は通常通り乗り降りができ、定期外の区間の乗車や買い物も残高内で行える。
JR東日本によるとモバイルSuicaは通常、残高を確認するにはログインが必要となるため、通信障害の場合にスマホ単体で残高を確認することは難しいようだ。ただ、「駅の券売機や対応自販機に接触させるなどの方法で残高を調べられる」(同社)。駅にある一部券売機では、接触させる形でチャージすることも可能だ。

QRコード画像を端末に保存する
コンサートや映画、航空券などデジタル発行されたチケットはどうすればよいのか。QRコードが電子チケットになっているケースでは多くの場合、スクリーンショットなどで静止画としてスマホ端末にQRコードを保存しておけば、データ通信せずにチケットとして使える。
たとえば、映画館を運営する「イオンシネマ」は、QRコードをかざして現地の発券機でチケットを発券する。QRコードを持っていなかったり表示できなかったりする場合は、チケット購入時の「予約番号」と「電話番号」を入力すれば、発券できると案内している。
ただコンサートなど一部イベントでは不正転売防止のため、QRコードの表示に時間制限が付いていたり、スクリーンショットを使用不可としたりしている場合もあり、注意が必要だ。
(松浦奈美)
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