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大草原に暮らす若夫婦のすれ違い 映画「大地と白い雲」

「大地と白い雲」(C)2019 Authrule (Shanghai) Digital Media Co.,Ltd, Youth Film Studio All Rights Reserved.

遠くまで広がる緑豊かな草原が美しい。映画「大地と白い雲」は、中国・内モンゴル自治区の雄大な自然を背景に、変化を求める夫とこのままの暮らしを続けたい妻のすれ違いを描いた人間ドラマだ。作家、モー・ユエ(漠月)による原作小説の主人公は漢民族だが、脚色にあたりモンゴル族の夫婦に設定を変更した。「学生時代の1987年、その後さらに仕事でも内モンゴルを訪れ、モンゴル族の生活や美しい草原にすっかり魅了された。原作を読んでここで『撮るべき映画』と感じた。12年かけて念願がかなった」とベテランのワン・ルイ(王瑞)監督は話す。

内モンゴルのフルンボイル草原で、家畜を飼育しながら暮らす若夫婦。夫のチョクト(ポリチハン・ジリムトゥ)は都会での生活を望み、たびたびふらりと行方をくらましてしまう。そんな夫に立腹しながらも彼を愛する妻のサロール(タナ)。だが、自由だった遊牧民の暮らしにも変化の波が押し寄せ、夫婦の価値観はすれ違っていく。

ワン・ルイ監督

かつてはゲルと呼ばれる伝統的なテントで寝起きし、季節とともに移動して家畜を放牧してきた遊牧民たち。だが、現在では固定家屋に定住するのが一般的で、今回の映画でも登場人物が草原の真ん中でスマホを使い、街に繰り出しカラオケを楽しむ姿が描かれる。「彼らの日常をつぶさに観察すると、伝統的なものもあれば現代的な部分もある。私自身が面白いと思った要素を脚本に取り入れた」と監督。草原に突如現れる巨大な穴は、石炭を採掘した跡だ。「石炭で成金になった人も。だが、地元の多くの人たちにとって大草原の傷は、胸が痛む痕跡でもある」という。

夫婦仲は良いのにすれ違う2人の状況は「誰もが直面する問題」とワン監督。「離婚のあとに」(96年)という映画を撮った際、離婚した多くの男女を取材したが、「両者の言い分とも納得できた」という。「人生は短い。やりたいことをしないと後悔するが、反対を押し切って実行しても人間関係を壊す。どちらが正しいのか、簡単に答えを出せない。善悪をつけられないことも今回の映画を作りたかった理由の一つ」という。

映画は8月21日からの東京・岩波ホールを皮切りに、全国順次公開する。

(関原のり子)

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