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間違った就活改善運動 長期化是正し学生の疲弊を防げ

就活のリアル(海老原嗣生さん)

就活では6月1日に、企業の面接が解禁となった。だが大学3年生の時から就活は実質的に始まっており、長期化が学生を疲弊させている。6月解禁では遅いと専門家は警鐘を鳴らす。

就活の現状について学生の声を聴いていると、近年どんどん、厄介な事態になっている気がしてならない。その根源は、政府と大学と企業の「間違った就活改善運動」のために起きていると私は考えている。

かつて就活が「4月1日に面接解禁」だったころ、問題は少なかったはずだ。このころは経団連もそこそこ傘下企業ににらみを利かし、このルールを守らせていた。

ベンチャーや外資など経団連と関係ない企業も、私立大学などで学部の後期試験の最中の1月は採用活動ができないため、抜け駆けをするにしても実質、2月からだった。

その時期は大学は順次春休みに入っており、学生たちが抜け駆け企業に応募したり、ルール順守企業の会社説明会に出たりしても、学業を阻害しなかったのだ。

それが、面接の解禁が8月に後ろ倒しとなり、行き過ぎたという反省で6月1日までは戻った。それでも、遅すぎる感は否めず、このルールを守る企業は大手でもどんどん減っていった。

その結果、「もう責任は持てない」とばかりに、一昨年の就活から経団連はルール作りから手を引く。このため昨今はタガが外れた状態となってきた。

今、唯一歯止めとなっているのは、大手就職ナビサイトの新卒採用求人の応募受付が3月1日となっていることだけだ。ただ、この決まりさえも「インターンシップ」と銘打つことで破ることは可能。そこで、インターンシップをかたる実質説明会がどんどん増えている。

リクルートが運営する就職情報サイト「リクナビ」のデータを見ると、なんとインターンシップが一番多いのは2月! その前年の10月から1月までの期間も、過去4年で倍増している。

学生が一番、時間に余裕があるのは2~3月の長期休暇中なのだから、ここに向けて企業が採用を行うのは当たり前であり、だからこんなことになるのだろう。

一方で採用に自信のある一部の超大手企業は、いまだに6月面接解禁の暫定ルールを守っている。そのため、他社で内定をもらった学生も、第1志望の大手が動きだす6月まで就活を続ける。

こうして学生はかつてよりはるかに長い就活に疲弊し、同様に多くの企業も採用活動の長期化で消耗している。

現在の就活規制に関わる面々は、大学側は理事会や教務部が中心で就職課は少ない。政府側の識者はもっと現実に疎い。企業側はここ10年のルール改悪に辟易(へきえき)して非協力的だ。

こんな状態だと近い将来、就職氷河期となった2000年前後のあの暗黒時代に戻るのではないかと、とみに心配をしている。産学官で、合理的な就活スケジュールを再考すべき時期にきている。 (雇用ジャーナリスト)

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