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マスターズ、D・ジョンソン本命 スピース復活なるか

ゴルフジャーナリスト ジム・マッケイブ

マスターズ・トーナメントに向けてオーガスタ・ナショナルGCの練習場で調整するスピース(5日)=ロイター

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で11月に開催された2020年の男子ゴルフのメジャー、マスターズ・トーナメントはパトロンが不在で、歓声が消えた。コースを彩る木々、草花も季節が異なることを感じさせ、芝は(米南部料理の)ピメントチーズよりも軟らかかった。世界がノーマルを取り戻そうというなかで、同大会がそのメッセージを示せたかといえば逆。試合が行われたこと自体は評価されたものの、かえって通常とは異なることを人々に伝えることになった。

しかしながら、そうした変化が、番狂わせまで導くことはなかった。

本命だったダスティン・ジョンソン(米国)が、通算20アンダーという大会記録で優勝し、勝者に贈られるグリーンジャケットに袖を通した。意外にも、世界ランキング1位でマスターズ・トーナメントを迎えて勝ったのは02年のタイガー・ウッズ(米国)以来。彼にとっては嫌なジンクスでもあったが、軽く一蹴してみせた。

そのジョンソンは、8日に幕が開く今年の大会でも別のジンクスに挑むことになる。彼は、今年も世界ランク1位でマスターズ・トーナメントに臨むことになるが、これまで連覇を成し遂げたのは、ジャック・ニクラウス(米国=1965、66年)、ニック・ファルド(英国=89、90年)、ウッズ(2001、02年)の3人のみ。ハードルは決して低くない。

練習ラウンドでショットを放つディフェンディングチャンピオンのD・ジョンソン(5日)=AP

もともと彼には、大舞台で弱いというありがたくない評判もついて回り、四大大会の通算成績は45戦2勝。16年に全米オープンで勝つまで、11回もトップ10に入っていたが、そのうちの2回は2位タイと勝ち切れず、手中に収めたかにみえたタイトルが何度かその手をすり抜けた。よってジョンソンは今回のマスターズ・トーナメントでも優勝候補筆頭とみられているが、他の選手にも十分につけいる隙はある。

そんななかで面白い存在なのは、ジョーダン・スピース(米国)だ。

彼は元世界ランク1位の選手ではあるが、過去3年(18~20年)は未勝利だった。それだけではない。上位にもなかなか食い込めず、20年の最後には世界ランクが82位まで下がった。昨季のフェデックス・カップランキングも107位と低迷した。

マスターズ・トーナメントと全米オープンを立て続けに制し、全英オープンで4位タイ、全米プロ選手権で2位に入った15年のスピースを知る人には信じがたいことだが、その彼もこのところ、ようやく不振を脱しつつある。

2月のフェニックス・オープンで4位タイとなり、翌週のAT&Tペブルビーチ・プロアマでは3位タイ。3月のアーノルド・パーマー招待でも4位タイに食い込んだ。昨季は一度もトップ5に入れなかったことを考えれば、復調の足音は確かであり、前週のテキサス・オープンではついに17年の全英オープン以来の勝利をマークした。

テキサス・オープンで優勝し、笑顔でトロフィーを掲げるスピース=USA TODAY

久々の勝利を挙げる前、本人も「ようやく、良くなっていることを実感している」と明るい表情。「上位に入ることが目標ではない。もっと上を目指している」とも語っていたが、その言葉に結果が伴ったことになる。

支えは、「落ちるところまで落ちたこと」とスピース。「あそこまでもがいたのは、自分のゴルフキャリアで初めてだった」。エリートコースを歩んだがゆえ、逆境を知らなかった。よって、それを抜け出すすべも知らなかったが、挫折から学んだことは少なくなかった。

下から見上げた屈辱の景色を今後のキャリアにどういかすのか。足場を固めるには、彼にとってマスターズ・トーナメントはその格好の舞台だ。というのも彼は、オーガスタ・ナショナルGCとめっぽう相性がいいのである。

14年から18年までの5年間は、順に2位タイ、優勝、2位タイ、11位タイ、3位。その5回の成績は、ジョンソンが出場した直近5回と比べても、遜色がない。ジョンソンは直近5大会のマスターズ・トーナメントの平均スコアが69.55。スピースは14年からの5年間で70.05だったのでわずかに劣るものの、初日からトップを守り、そのまま優勝した15年から16年の第3ラウンドまで、7ラウンド連続でトップに立っていた。また、その5年間の20ラウンドではアンダーパーが13回、60台が7回だった。

過去2大会は21位タイと46位タイと低迷しているものの、もはやそれは過去の話になった。マスターズ・トーナメントで勝てばその勢いに乗り、スピースには全米プロ選手権を残すだけとなっている四大大会のグランドスラムも、視界に入ってくるのかもしれない。

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