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ただの卵 ミュージシャン 尾崎世界観

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バンドを組んでライブハウスに出ている。高校生のあの頃、それだけが心の拠(よ)り所だった。実際には、ガラガラのライブハウスでライブをやって、ノルマ分の金額を支払い帰っていくだけ。平日の17時半に千葉のライブハウスまで来てくれる友達なんてそうはいない。今考えれば簡単にわかるような事にも、あの頃は必死で目を背けていた。いつかスーツを着たレコード会社のお偉いさんから声がかかるはずだ。そう信じて、せっせと無駄なライブを重ねていた。

秋葉原にある練習スタジオは、平日の10時以降に電話をかけると、当日予約として半額で借りる事ができた。バンド練習がある日は、9時55分頃になると毎回腹が痛いとわざとらしく顔を歪(ゆが)めながら教室を抜け出して、トイレの個室から予約の電話をかけた。スタジオでもライブハウスでもうだつが上がらず、気がつけばもう高校生活最後の夏休みになっていた。

そんなある日、スタジオのロビーで尚美(しょうび)ミュージックカレッジという音楽の専門学校が主催するバンドコンテストの張り紙を見つけた。金の卵フェスティバルと銘打たれたそのイベントロゴが、キラキラと輝いて見えた...

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