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南米の楽器・放浪の旅…近藤良平さん、振付家への道

こころの玉手箱

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こんどう・りょうへい 1968年生まれ。幼少時を南米で過ごす。振付家、ダンサー、ダンス集団「コンドルズ」主宰。彩の国さいたま芸術劇場次期芸術監督。NHK「サラリーマンNEO」ほかテレビ、CM、演劇の振り付けで活躍。

南米の楽器「チャランゴ」

アルゼンチンに住んでいた小学4年のころ、僕は南米の楽器、チャランゴをジャラジャラと弾きまくっていた。そして弾きながら、踊りまくっていた。だからこの楽器は僕にとって音楽の、そしてたぶん、ダンスの原点でもある。

チャランゴはボリビア発祥の弦楽器で、ウクレレを少し大きくしたくらい。もともとはアルマジロの甲羅を胴体に使っていて、僕が初めて手に取ったのもアルマジロ製だった。小ぶりで持ちやすく、南米では祭りで踊りながら合奏する楽しい楽器だ。これさえ持っていれば友達ができそう。異国の地にいた僕は、そんなことも考えていた。

週に1回、ノーラ先生が家に来て教えてくれた。ちょっと懐かしい感じの音色も気に入って、すっかりはまってしまった。ソロバンさえも楽器にしか見えなくて、授業中にかき鳴らした。実はもっと小さい時に日本でピアノを習っていたけれど、鍵盤をたたいて怒る先生が怖くて好きになれなかった。だからチャランゴに出会って、僕は初めて音楽の楽しさを知った。

ノーラ先生に薦められて、ハイメ・トーレスのレコードを初めて聴いた時の衝撃は忘れられない。彼は鉄の弦を付けたり、ソロの超絶技巧を披露したりする、チャランゴ界の異端児。ものすごい早弾きなのに、不思議と音色は温かだった。小刻みに弦を震わせると、まるで風が吹いてくるみたい。「すげぇ」とつぶやきながら夢中で聴き、こんな弾き方があるんだ、この人みたいになりたい、とまねをした。

同じ日本人学校で一緒に弾いていた友達は、その後、日本人女性初のプロのチャランゴ奏者としてデビューした。僕もダンスに出合わなければ、そちらの道に進んでいたかもしれない。学校のクリスマス会やらで演奏すると喜ばれて、人前に出る面白さも知った。

姉はクラシックギターを習っていて、リビングでよく合奏した。おやじがボンゴをドンドコたたいて加わり、お袋はチャチャを入れる。家族みんなでノリにノッて、下の家からうるさいと怒られていた。

楽しい記憶は思い出せばきりがない。それから音楽は人生に、なくてはならないものになった。舞台でもいろんな楽器を演奏する。ピアノも笛も、もちろんチャランゴも。舞台にサーッと風を吹かせたいとき、僕はチャランゴを手に取る。...

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