転倒した労働の価値 社会学者・酒井隆史氏
コロナ禍の思想(2)
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人間は労働からの解放を目指して産業と社会機構を発展させてきた。経済学者のケインズは、自由な市場原理に基づく経済成長や産業合理化、日進月歩の科学技術を根拠に「孫たちの経済的可能性」(1930年)を書いた。世界を成立させるのに不可欠な労働は減少し、週15時間働けば十分な時代が到来する、と予言した。
ところが、現実は異なる。コロナ禍では在宅ワークなどの新しい生活様式が生まれ、仕事の要否を検討する必要に...

2年にわたる新型コロナ下での生活は私たちの価値観を変え、社会の諸問題もあらわにしました。パンデミックの中から立ち上がった新たな思想について識者に聞きました。