遠い昨日 歌人・小島ゆかり
[有料会員限定]
早朝の新幹線に乗って東京から名古屋へ。故郷なのに、最近は乗り換えのために早足で通り過ぎるばかりだ。わたしの生家には、もう別の家族が住んでいる。
JR特急南紀で名古屋から松阪へ。稲刈りの終わった田圃(たんぼ)や、櫨(はぜ)の紅葉がひときわ赤い雑木林や、かいつぶりがお尻を振ってもぐる川面が車窓を過ぎてゆく。
犬と散歩する人。校庭を走る小学生たち。柿の木のある庭で洗濯物を干す人。それぞれの人に暮らしや...
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り438文字