東ガス、LNG長期契約が寄与 23年3月期純利益が最高

東京ガスは31日、2023年3月期の連結純利益が前期比2.5倍の2360億円になる見通しだと発表した。過去最高を見込んだ従来予想(23%増の1180億円)からさらに上振れする。液化天然ガス(LNG)のほぼ全量を割安な長期契約で調達し、ガス料金が上昇する中で利幅が拡大。オーストラリアで手掛ける資源開発事業も利益を押し上げる。
売上高は57%増の3兆3770億円、営業利益は2.6倍の3310億円を見込み、従来予想からそれぞれ1040億円、1810億円上振れする。ガス料金は国内全体のLNGなどの輸入価格を数カ月遅れで反映して変動する仕組み。国内の輸入業者は割高なスポット(随時契約)調達が多い中、スポット調達がほぼない東ガスは調達コストが安く済んだ。東ガスは相対的に原料費負担が小さい中でガス料金が値上がりし、利益が膨らむ。
オーストラリアで手掛ける資源開発事業も利益を押し上げる。今冬に懸念されていたLNGの需給逼迫の懸念が後退し、東ガスは余ったLNGを転売することで利益を伸ばしている。他の新電力が燃料高で事業停止や撤退に追い込まれる中、東ガスは家庭向けの電力販売を継続して契約数を伸ばす方針だ。
31日の東京株式市場では通期予想の上方修正後、東ガス株が一時前日比8%高まで上昇する場面があった。東ガスは配当と自社株買いを足した「総還元性向」を50%程度とする目標を掲げている。