LayerXが出資の運用会社、デジタル証券ファンド公開へ

産業デジタル化を手掛けるLayerX(レイヤーX、東京・中央)の関連会社が有価証券を電子的に発行する「デジタル証券」を活用し、投資家が不動産などの資産に小口出資できるファンドをつくる。まず秋に富裕層などプロ投資家向けサービスを開始する。スタートアップがIT(情報技術)を活用し、デジタル化が遅れる業界を変革する。
LayerXが36%出資している同社の持ち分法適用会社は三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM、東京・中央)。2020年4月に設立し、三井物産が53%出資している。LayerXの丸野宏之執行役員が取締役を務めるなど、MDMのメンバー19人のうちLayerXからの出向者は役員を含め11人と、6割弱を占める。LayerXでは3月に共同代表に就任した松本勇気・最高技術責任者(CTO)がMDMを管轄する。
MDMではITツールなどを用いた会社経営のデジタル化に加え、「ファクスを使うことも多い従来のアセットマネジメント(資産運用)業務をデジタル化するため、プロダクトを開発している」(丸野執行役員)。今後はデジタル証券を個人投資家に販売するサービスの開発を急ぐ。
MDMでは既に不動産など運用予定の資産が約190億円に達するという。13日に金融ライセンスの登録を受け、日本証券業協会などの自主規制団体に加入してから運用を開始する。営業開始から3年以内に1000億円以上の運用残高を目指す。
LayerXはグノシー創業者の福島良典氏が18年に設立したスタートアップ。当初はブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いた事業に携わっていたが、21年からは請求書処理SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の「LayerX インボイス」を開始するなど事業内容を多角化してきた。