ヤフー社長に小沢取締役 元起業家、ECなどに知見

Zホールディングス(HD)傘下のヤフーは1月31日、小沢隆生取締役(49)が4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。川辺健太郎社長(47)は取締役となり、兼任するZHD社長の職務に専念する。元起業家で電子商取引(EC)などに知見を持つ小沢氏をトップに据え、事業に関わる意思決定を迅速にできる体制を整える。
ヤフーは2018年に川辺氏が社長兼最高経営責任者(CEO)に就任し、19年10月からZHDを親会社とする持ち株会社体制へ移行した。ZHDが21年3月にLINEとの経営統合を完了した後も、川辺氏がZHDとヤフーの経営トップを兼任。小沢氏は川辺氏の右腕として、19年10月からヤフーの最高執行責任者(COO)を務めてきた。今回、川辺氏の兼任を解き、小沢氏がヤフーの意思決定を担う体制に改める。
ヤフーは社長交代の理由について「さらなる成長加速には、新たなCEOのもとで迅速に機動的に意思決定し、業務も執行できる体制への移行が最適と判断した」と説明している。
小沢氏は1999年に中古品売買サイト運営のビズシークを起業した。楽天(現楽天グループ)によるビズシーク買収を経て楽天に入社。楽天トップの三木谷浩史氏の要請を受けて、プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスの球団設立を主導した経験を持つ。
12年にヤフーに入社すると、執行役員としてECなど主力のコマース領域を担当した。有料が当たり前だったECの出店料を無料とする「eコマース革命」を当時の宮坂学社長らと推進した。15年のアスクル、19年のZOZOの子会社化も担った。
足元では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた働き方改革に注力している。在宅勤務を前提に、社員が好きな土地に居住できるようにする改革を進めている。
川辺氏はヤフーに取締役として残るが「退任後はZHD社長に専念する」と1月31日に自身のSNS(交流サイト)に投稿した。ヤフーやLINE、ZOZOなどを束ねるZHDのトップとしてグループ経営に専念する。
小沢 隆生氏(おざわ・たかお)95年(平7年)早大法卒、99年ECサイト運営のビズシーク設立。01年楽天(現楽天グループ)に事業売却し、03年同社執行役員。12年ヤフー(現Zホールディングス)入社、19年取締役。千葉県出身。