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睡眠中の短い目覚めを正確判定 東大・ソニーが計算手法

東京大学の上田泰己教授らとソニーグループの研究チームは就寝中に短い間だけ目が覚める現象を、精度よく判定できる解析アルゴリズム(計算手法)を開発した。腕時計型のウエアラブル端末と組み合わせて使う。一時的な覚醒は本人も覚えていない場合があり、心身の不調の原因にもなる。東大発スタートアップのアクセルスターズ(福岡県久留米市)と協力し、アルゴリズムを搭載した端末を2023年度に発売する予定だ。

腕時計型の端末を着けると腕の動きから睡眠中の体の状態を調べることができる。米アップルや米フィットビットなどが端末を販売している。

ただ主な端末では寝ている状態を90%以上の精度で正しく見分けられる半面、睡眠中に一時的に目覚めた状態などは40~60%しか見分けられないとする報告もある。例えば寝返りをうった時と起きた状態との区別が難しいという。

腕時計型の端末では通常、腕にかかる力を示す加速度を調べている。研究チームは加速度の時間変化率にあたる「躍度」について、機械学習を用いて解析する手法を開発した。

この手法により寝ている状態を約96%、一時的に起きた状態を約80%の精度で見分けることができた。上田教授は「従来のように腕の動きの激しさをみるのではなく、動きのパターンを捉えて見分けるイメージだ」と話す。

睡眠中に一時的に覚醒してしまうのは不眠症や睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害の症状の一つで、適切な診断と治療が必要になる。うつ病などでも起きるといわれる。ただ朝起きたときに覚醒の回数や長さを覚えていない例も多い。主観だけに頼ると症状の正確な分析が難しい。

脳波や目の動き、呼吸状態などを調べる「終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査」と呼ぶ手法もある。睡眠と覚醒を正確に見分けられるが、多くのセンサーを体に装着する必要がある。高度な機器を備えた病院で実施するのが一般的だ。ウエアラブル端末を用いて簡便・正確に解析できる手法が求められていた。

新手法はアクセルスターズが開発する端末に搭載する。22年2月中旬から久留米市や久留米大学などと共同で、同端末で睡眠の状態を調べ、改善につなげる実証実験を始める。まずはヘルスケア機器としての発売を目指す。睡眠障害の予防や治療のための医療機器としての開発も狙う。

上田教授は「生活習慣病の予防のための特定健診での活用も目指す」と話す。睡眠習慣について「休養が十分取れているか」といった質問だけでなく、新手法も用いることで計測値から睡眠状態を正確に分析できる。治療や生活習慣の改善につなげやすいと期待している。(尾崎達也)

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