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ノーベル平和賞を超える

SmartTimes サムライインキュベート 代表取締役 榊原健太郎氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

私が取材を受けた過去記事を見ると「将来の目標はノーベル平和賞を獲ること」と書かれているものがいくつかある。これを覚えていてくださる方もいて「ノーベル平和賞受賞の目標は今でも変わらないですか?」と聞かれることもある。私自身、当時は真剣に目標にしていた。意図としては、常々世の中をより良くしていきたいと思っている中で、誰から見ても明確なKPIを求めていたことにある。そして何より、起こしてしまった戦争の過ちを認め、ビジネスでGDP3位まで成長したサムライ=日本という現実に誇りを持ち、「日本」全体が獲得できるようにしたいと思っていたからだ。ノーベル平和賞は、世界で最も世の中をより良くした人・団体に唯一与えられる誇れる賞だと認識しているし、それは今でも変わらない。

その上で「ノーベル平和賞を獲る」ということを会社目標にするか否かについて社内議論したことがある。4年ほど前だ。私としては個人の目標と会社の目標はほぼ一致している状態だったので、ぜひ会社の目標としても明確に置きたかったのだが「俗人的要素やコントロールできない外的要因の大きい内容を目標にするのは難しいのではないか」と待ったがかかった。これだけ栄誉あるノーベル平和賞であっても、人によって認識や価値観が違うことを具体的に知る機会となり、ディスカッションができたことはとても有意義だった。

そして、「ノーベル平和賞を目指すのではなく、それを超える賞を自分たちで創った方がかっこいいのではないか」

「その方がサムライ=日本のプレゼンスを上げるのではないか」

「最初は誰も知らない価値の低い賞かもしれないが、毎年積み重ねていけばいつかノーベル平和賞を超える可能性がある」

これらの言葉で私の考えは一変した。その方がよっぽどサムライインキュベートらしさ、私らしさが表れていると思ったからだ。さらに「SAMURAI大賞」と名づけることで、日本発で世界に誇れるプライズの表現となり、過去の過ちを反省してビジネスで復活した日本をあらためて自覚するという意味も込めた。

それから3年ほどの年月が経ち、「SAMURAI大賞」を創設。今年10月に開催した「SAMURAI VISION SUMMIT」で一回目となる授賞式をすることができた。「SAMURAI大賞」を受賞するのは"世界の人々にとって最も頼れる、誇れる、憧れるサムライ"である。ここでいうサムライにはサムライ魂を持つ人を指している。初代受賞者は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団に決定した。"グローバルヘルスの公平性"を推進し、全世界を脅かすコロナの脅威に負けることなく、ワクチンを公平に分解する国際的な仕組み「COVAXファシリティー」の推進にも寄与し、その高い志や起業家マインド、行動量は圧巻のものだったからだ。

以前このコラムでもビル&メリンダ・ゲイツ財団の柏倉氏が伝える「フィランソロピー」という考え方に触れたが、上場やM&A、ユニコーン企業を目指すだけではなく、最終的にみんなが"世界の人々から最も頼れる、誇れる、憧れるサムライ"になりたいと思い、「SAMURAI大賞」を目指すようなそんな存在になったら嬉しいと思っている。

皆さんが日々積み重ねているように、受賞者たちが受賞したことをより誇りに思えるような、ノーベル平和賞を超え「SAMURAI大賞」に価値が出るその時まで、諦めずに私も積み重ねていきたい。

[日経産業新聞2021年12月10日付]

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