5万人のゲノム解析完了 東北大、創薬に活用期待
東北大学の東北メディカル・メガバンク機構は30日、日本人5万人分の全遺伝情報(ゲノム)の解析を完了したと発表した。個人のゲノムデータと健康情報をひも付けたデータベースを作った。コンソーシアムに参加する製薬企業が無料で創薬研究などに利用できる。

同機構は宮城県や岩手県などの住民約15万人以上の健康情報や血液などの試料を集めている。今回はそのうちの5万人分の解析を終えた。血縁関係が近い人を除いた3万8千人分について、遺伝情報のわずかな違いの頻度をまとめてデータベースで公開した。2021年12月に公開した時点では1万4千人分だったが、2倍以上に増えた。
人のゲノムとなるDNAは4種類の塩基という物質が並んだ構造をしている。人の場合、塩基の並び方は99%以上が同じだが、わずかな違いが体質や病気のかかりやすさの違いを生む原因になるとされる。
日本人のゲノムデータを健康情報と共に分析すれば、ゲノムから病気にかかるリスクなどを正確に予測しやすくなり、個別化医療につながると期待されている。遺伝子の違いと病気の関係を検証しやすくなり、病気の原因となるたんぱく質を特定して治療薬を開発しやすくなる可能性もある。
同機構は今後、10万人分を目標に解析数を増やす。ゲノム解析には費用や時間がかかるため、同機構が20年8月までに解析したのは約8300人分にとどまっていた。21年には武田薬品工業やエーザイなど製薬大手5社と、10万人分のゲノム解析のためのコンソーシアムを設立。企業の資金などをもとに解析を進められるようになった。データはコンソーシアムの参加企業でなくても有料で利用でき、一定期間たてば利用料の引き下げも予定するという。
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