中部電力、10月料金値上げ 大手10社が燃料転嫁上限に

大手電力10社は30日、燃料価格を電気料金に反映する燃料費調整制度(燃調)に基づく10月分の料金を公表した。中部電力の料金は14カ月連続で値上がりする。東京電力ホールディングス(HD)などほかの9社は9月までに燃料費を料金に転嫁できる制度上限に達しており、横ばいとなる。10月に中部電が上限に達することで、大手10社全てに超過分の負担が生じることになる。
中部電の標準的な家庭の1カ月当たりの料金は9月比78円高の9189円となる。燃調は発電に使う液化天然ガス(LNG)や石炭といった燃料の価格の増減を電気料金に自動で反映する仕組みだ。10月の電気料金は5~7月に輸入した平均燃料価格から算定する。中部電が燃調の上限に達するのは2014年以来、8年ぶりとなる。
大手電力は電源構成や燃料を使う量などに応じて、料金算定のもとになる基準価格を定めている。一部の契約では燃料価格が基準価格より5割高い「上限価格」を超えると、その月は超えた分を電力会社が負担する。
東電HDは同日、新電力の倒産などで一時的に契約先がなくなった企業に電気を送る「最終保障供給」の10月分の新料金を公表した。中小規模の事務所の場合、料金は93万5645円と従来比3割値上がりする。
今回公表したのは毎月の検針日が2日から月末の企業が対象で、既に発表していた検針日が1日の企業向けと同水準の値上げ幅となる。10月から標準料金の1.2倍の水準に、直近1カ月の市場価格を上乗せする値上げ措置が国の委員会で決まった。燃料高による新電力の倒産などで契約先がなくなった、約3万5000社が利用している。
