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キリン、ミャンマー事業の売却発表 合弁企業に224億円

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キリンホールディングス(HD)は30日、ミャンマー国軍系企業と合弁で運営するビール会社「ミャンマー・ブルワリー(MBL)」の全保有株式をMBLに売却すると発表した。売却額は約224億円を予定する。2月にミャンマー撤退を表明して以降、国軍と関係ない第三者の企業への売却を探ったが、有力な買い手を見つけられずにいた。批判の高まりを避けるため早期撤退を優先する。

MBLが29日、キリンHDが持つ51%の株式を譲り受けることを決議した。株式の譲渡日は未定としている。

キリンHDはミャンマー国軍系企業のミャンマー・エコノミック・ホールディングスMEHLとの合弁のビール会社「マンダレー・ブルワリー」についても同様に全保有株を合弁企業に売却する。2021年12月期に計上した減損損失の戻入益として22年12月期にその他営業収益に190億円を計上する。また株式の譲渡時には子会社株式売却損としてその他営業費用に180億円を計上する見込みだ。

キリンHDは15年に697億円を投じてMBLの株式を取得した。キリンHDによると投資額の3分の1(約230億円)については回収のめどが立たないという。キリンHDは「22年12月期の連結業績に与える影響は精査中」としている。

MBLはキリンHDが51%、MEHLが49%をそれぞれ出資している。キリンHDは21年2月の軍クーデター直後に国軍系企業に合弁解消を要求。22年2月に保有する全ての株式を6月末までに売却する方針を明らかにしていた。

欧米企業を含め売却先を探したが、人権弾圧を続けるミャンマー国軍への国際的な批判が強まるなか、国軍系企業以外の有望な買い手は現れなかった。国軍系企業に直接売却するとキリンに批判が集まるリスクも考慮し、MBLに買い取らせる仕組みを整えた。売却先選びが長引けば、従業員や取引先への影響も大きくなると判断した。

キリンHDは15年にシンガポールの飲料大手フレイザー・アンド・ニーブからMBL株を取得し、ミャンマー市場に参入した。キリンHDが国軍系企業に合弁解消を申し入れたことで両社の関係は悪化。21年11月に国軍系企業が現地の裁判所にMBLの清算を申し立てた。

キリンHDも21年12月にシンガポール国際仲裁センター(SIAC)に商事仲裁を提起して対抗するなどし、国軍系企業との交渉は一時途絶えた。22年1月下旬に両社の交渉は再開し、2月に入ってキリンHDがMBL株の売却とミャンマーからの撤退を表明した。

MBLはミャンマーのビール市場で8割のシェアを持つ。クーデター前の20年12月期にはキリンHDの事業利益の約1割を稼いでいた。クーデター後に事業環境が悪くなったことが響き、21年12月期に680億円の減損損失を計上した。

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ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデターを巡る最新ニュースはこちら。

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