大和ハウス、10兆円への設計図 連載まとめ読み
「100周年で10兆円の企業グループができるようにしてくれよ」。大和ハウス工業を創業した故・石橋信夫氏は生前こう口にしてきました。遺志を受け継いだ歴代社長たちは物流施設など事業の幅を広げ、売上高は4兆円にまで急成長しましたが、近年は不正の発覚など拡大に伴うひずみも生じています。創業100年の2055年に10兆円という壮大な夢へ。奮闘する今を追いました。
(1)大和ハウス10兆円への道 芳井社長「住宅の心忘れない」

データセンターの開発など多角化が進んで、事業構造は大きく変貌を遂げています。2055年の目標達成に向けてあるべき姿とはどのようなものでしょうか。480社ものグループ会社を率いる大和ハウスの芳井敬一社長に聞きました。

(2)大和ハウス、住宅営業は二刀流 データ駆使で対面補う

デジタル技術を取り入れ新たな住宅営業に動き出しました。年間5000棟もの注文住宅の販売データを使い、過去の図面や見積書から住宅の3D(3次元)モデル表示などできるツールを開発、導入しています。住宅展示場を減らして効率的な営業を追求しますが、対面重視の姿勢は変えません。独自施策を通じて、利益率が低迷する戸建住宅事業をテコ入れします。

(3)大和ハウス、物流からサーモンまで 「出る杭打たれぬ」

建築業界で大和ハウスの存在感が高まっています。2000年代に物流センターの開発を本格開始し売上高を伸ばすと、10年足らずで全社の稼ぎ頭へと成長しました。近年はデータセンターやサーモンの陸上養殖施設などさらに事業の幅を広げています。新規事業を生む背景には「やってみなはれ」の企業文化があります。

(4)大和ハウス、「誘致力」で商業施設を再生 人口減で転換

連結売上高の2割弱にあたる8000億円近くを稼き出すのが、商業施設を建築する事業です。小売企業の全国展開にあわせてロードサイド店舗を建てて成長してきました。人口減時代の近年は、ショッピングセンターの再生事業に力を入れます。テナントと築いてきた信頼関係を軸に、誘致力を生かして老朽化施設をよみがえらせます。

(5)大和ハウス、高度経済成長期の団地再興 住民と二人三脚

大和ハウス工業が1960年代以降に開発した住宅団地の再生に乗り出した。空き地や空き家を買収して施設や公園を新設することで若者を呼び込みます。人口減で住宅需要も減るなか、次なるビジネスチャンス創出に向けて後進たちが知恵を振り絞ります。

