UBE、ガス分離膜の設備増強 バイオメタンの需要増で
(更新)

UBE(旧宇部興産)は30日、バイオメタン製造工程などで使うガス分離膜の設備を増設すると発表した。山口県と大阪府の工場が対象で、生産能力は現状から約8割増える見通し。2025年度上期に稼働する予定で、投資額は数十億円規模という。欧州を中心にバイオメタン製造の用途で需要が急増していることに対応する。
同社の分離膜はポリイミド樹脂を糸状に紡いで、筒状の装置に詰めて販売している。ガスが筒を通過する過程で特定のガスを取り除く。紡糸工程を担う山口県の工場内に新しい建屋を造り、装置製造を担う堺工場では既存建屋を拡張する。
分離膜はもともと石油精製工場や化学工場で水素やヘリウムを分離する目的で使われていた。最近では欧米を中心に家畜ふん尿由来のバイオガスから二酸化炭素(CO2)などを分離して、燃料になるバイオメタンを抽出する取り組みが進む。バイオガス事業者からは同社のコンパクトな設備への需要が強いという。