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家族性アルツハイマー、進行抑える傾向 iPS創薬で京大

京都大学などの研究チームは30日、患者の遺伝子に特定の特徴がある家族性アルツハイマー病について、iPS細胞を使った研究で見つけた新薬候補を患者に投与した臨床試験(治験)の初期分析の結果を公表した。計8人の患者が参加した小規模な試験だが、新たな副作用はなく、症状の進行を抑える傾向もみられたという。規制当局とも協議しながら、早期の実用化をめざす方針だ。

治験は「プレセニリン1」という遺伝子に変異のあるタイプのアルツハイマー病患者を対象にした。認知症患者の約3分の2を占めるアルツハイマー病のうち、1%未満は特定の遺伝子変異をもつ家族性といわれている。プレセニリン1に変異があるタイプは国内に推定100人前後。平均発症年齢が約43歳と若く、症状の進行が比較的速いという。

治験は三重大学病院や京都大学病院などで実施した。患者を2つのグループに分け、約1年かけて安全性や有効性を調べた。一方のグループ(投与群)にはパーキンソン病などの治療薬として使われている「ブロモクリプチン」を、もう一方のグループ(偽薬群)には偽薬を投与した。

少ない投与量の薬を試した最初の20週間では、認知機能の低下がみられたのは投与群で5人中1人、偽薬群は3人中2人だった。また、偽薬群のうち1人では妄想や暴言・暴力といった行動・心理症状の進行がみられたが、投与群では0人だった。投与量を増やした20~36週では有効性を比較できていない。

研究チームは、投与群では症状が悪化した人の割合が少ない傾向がみられたことから、ブロモクリプチンが病状の進行を抑えた可能性があると考えている。ただ、少数の患者のデータにとどまるため、他の項目のデータも含め慎重に分析を進めている。

今回の新薬候補はiPS細胞を使って見つけた。京大iPS細胞研究所の井上治久教授らはアルツハイマー病患者のiPS細胞から脳の神経細胞を作り、アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質「アミロイドベータ」を減らす働きがある薬を探した。ブロモクリプチンがプレセニリン1変異の患者の細胞で特によく働くことを2017年に発表し、20年に治験を始めた。

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