クールビズ商戦、3年ぶりに本格化 各社が新商品投入
百貨店や紳士服大手による「クールビズ」商戦が3年ぶりに本格化している。各社は、過去2年間と比べて出社勤務が戻るとの期待から、在宅に限らずオフィスでも使える商品や外出時に着用しやすい機能性の高い商品を売り出す。新型コロナウイルス禍を経て働き方が多様化するなか、落ち込んだ仕事着の需要を喚起する。

そごう・西武は、外出時の着用を想定し、機能性と見栄えを両立させた商品を売り込む。通気性や伸縮性が高く、洗濯機で洗えるジャケット(販売価格は3万9600円)とパンツ(2万2000円)を夏向けに発売した。汗をかいても、自宅で洗って清潔に着用できる。
革靴よりも歩きやすいレザースニーカー(2万2000円)も販売している。黄色などの色味のあるシャツ(1万9800円)は、定番の色よりも相手の印象に残りやすいという。担当者は「2020~21年のコロナ禍で新たに紳士服を購入しなかった層の需要を取り込む」と強調する。

高島屋は、在宅勤務の広がりを受けて、仕事の場面に限らず普段から着られる商品をそろえた。伸縮性のあるジャージー素材や消臭、防しわといった5つの機能を備えたシャツ(2万5300円)などを販売。汎用性の高さと手入れのしやすさを重視する。
紳士服専門店も働き方の変化に合わせた商品の販売に力を入れる。最大手の青山商事は、外出、オフィスでの勤務、在宅勤務の3つの場面を想定したジャケットの販売を始めた。それぞれテーラード、ノーカラー、カーディガンの形のジャケットで、利用シーンに合わせて服装を変えたいという需要に応える。

新型コロナの影響で、20年と21年のクールビズ商戦は低迷していたが、足元で需要は回復しつつある。そごう・西武によると、5月23~29日の1週間のメンズスーツの売上高は前年同期比約1.5倍に拡大した。
一方で、働き方は多様化している。在宅勤務と出社を併用した働き方が普及し「コロナ前よりもカジュアルな服装が受け入れられるようになった」(百貨店大手)。服装の自由度が増すなか、各社は着用する場面に合わせて機能やデザインに工夫をこらす。(濱田安里子)

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