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ANA、薄氷の黒字計画 22年3月期最終35億円

ANAホールディングス(HD)は30日、2022年3月期の連結最終損益が35億円の黒字(前期は4046億円の赤字)になる見通しを明らかにした。航空機の早期退役などでコストを抑えるほか、ワクチン接種の拡大で旅客需要が回復するとみる。ただ、緊急事態宣言の再発令などで足元の需要は低迷し、6月までは資金の流出超過が続く見通し。黒字転換はなお綱渡りだ。

「緊急事態宣言が予定通りに終われば、お客さんの移動が復活して改善に向かう」。片野坂真哉社長は同日の決算会見で、先行きの需要回復に期待感を示した。

「黒字化を必ず達成する」と強調するANAHDの片野坂社長

今期の売上高は前期比89%増の1兆3800億円、営業損益は280億円の黒字(前期は4647億円の赤字)を見込む。7月以降に国内線の旅客数が回復し、期末におおむね新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻るとみる。国際線は期末時点でコロナ前の5割程度に回復。今期通期の旅客数は国内線が19年1~12月に比べて2割減、国際線が7割減を見込む。

旅客便の減少を受け運賃が高騰している国際貨物の売上高は前期比23%増の1970億円と過去最高になる見通しだ。新たな貨物便を米ロサンゼルスに就航させるなど、すべての貨物専用機を需要が旺盛な成田空港の発着路線とし、事業の拡大を目指す。

旅客数の回復について「カギを握るのはワクチンの迅速な接種」(片野坂氏)。普及を織り込み、営業キャッシュフロー(CF)と投資CF(3カ月超の定期・譲渡性預金を除く)をあわせた「実質フリーキャッシュフロー」は7月にも単月ベースで黒字転換させる考えを示す。

もっとも、新型コロナの感染再拡大で足元の不透明感は増す。実質フリーキャッシュフローの赤字は20年4~6月の1753億円から、10~12月には493億円まで縮小したが、21年1~3月に再び688億円まで拡大した。片野坂氏は4~6月も最大で前四半期と同規模の資金流出が見込まれるとし、「最悪の状況を乗り切ったとは思っていない」と危機感を示す。資金流出を食い止めようとコストの抑制を続ける。

前期は20年3月期比で5900億円のコスト削減を実施した。今期は需要の回復にあわせて変動費を調整しつつ、固定費を中心に20年3月期から3000億円以上の抑制を見込む。前期までに大型機の「ボーイング777」などの航空機を早期退役させた効果で減価償却費や整備費などを削減し、地上オペレーションの外部委託費なども抑える。

採用の抑制や退職による自然減で人件費も抑制。今期末のグループ従業員数は前期末と比べて約2500人減る。社員の外部出向も拡大し、足元では約750人の社員が出向中だ。片野坂氏は「雇用は守るが、賃金の我慢は続くと社員に話している」という。

3月末の手元流動性(現預金と有価証券の合計)は9657億円あり、今期予想の1カ月当たり売上高の8カ月分以上を確保している。有利子負債は1兆6554億円とこの1年で倍増したが、公募増資の実施などで自己資本比率は31.4%と30%超の水準を保っており、当面の資金面の懸念は小さいとする。

前期の連結売上高は前の期比63%減の7286億円、営業損益は4647億円の赤字(前の期は608億円の黒字)だった。機材の早期退役に伴う減損損失などの構造改革費用863億円の計上などで損失が膨らみ、過去最大の最終赤字となった。3月の旅客数は国内線がコロナ前の19年比で67%減、国際線が同96%減と低迷が続いている。

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