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日産、28年度に全固体電池EV量産へ

日経クロステック

日産自動車は29日、自社開発の全固体電池を搭載した電気自動車(EV)を2028年度までに量産すると発表した。EVの普及の鍵を握る電池コストについては、全固体電池の量産で1キロワット時(kWh)あたり75ドルに下げる。その後、65ドルまで引き下げることで「EVとガソリン車のコストを同等水準にする」(日産社長兼最高経営責任者の内田誠氏)考えだ。

30年度を見据えた長期戦略「Nissan Ambition 2030」を発表した。全固体電池のエネルギー密度については、EV「リーフ」に搭載する現行の液系リチウムイオン電池に比べて「2倍にする」(内田氏)ことを目指す。コストについては一般に1kWhあたり100~200ドル程度とされるが、その半分以下の水準にする。

エネルギー密度を2倍にするため、正極と負極の材料に液系とは異なる「全固体電池ならではの材料を選択する」(内田氏)考えだ。

全固体電池の量産当初は正極と負極に現行の液系と同じ材料を採用する考えのメーカーもあるが、内田氏は「現行の液系電池と同等の性能であれば、全固体電池を開発する意味がない」と言い切る。一般に液系電池の正極には3元系(ニッケル・マンガン・コバルト)やリン酸鉄系、負極には黒鉛系が使われる。

トヨタ自動車は、ハイブリッド車(HEV)用の全固体電池を20年代前半に量産すると発表したが、肝心のEV向けについては量産時期を明かしていない。電池寿命が短い課題などを解決できていないからだ。

これに対して日産は「技術的にかなり先が見えており、量産化に自信がある」(研究開発を担当する同社副社長の中畔邦雄氏)と話し、トヨタが苦しむ電池寿命の課題解決にめどが立っていると示唆した。

日産は24年度までに、横浜工場内に全固体電池の試作用生産ラインを導入する。中畔氏は「現時点で世界最高水準の性能に達した試作品ができており、量産化に向けて準備を進める」と明かした。

液系リチウムイオン電池の場合、液漏れの可能性や、可燃性の電解液を利用するために発火する危険性がある。さらに使用温度範囲の制約も大きい。日産は全固体電池にすることで液系の弱点を解消し、電池の衝突対策機構や冷却機構を簡素化し、低コスト化につなげられるとみる。

コンセプトカー3車種発表

日産は、全固体電池の採用を想定した将来のEVプラットフォームのイメージを披露し、同プラットフォームを採用した3種類のコンセプトカーを発表した。オープンカー「Max-Out(マックスアウト)」と多目的スポーツ車(SUV)「Hang-Out(ハングアウト)」、ピックアップトラック「Surf-Out(サーフアウト)」である。「全固体電池を活用することでEVの新たな可能性を引き出す」(内田氏)ことを狙った。

例えば軽量化とともに車高や重心高を低くし、運動性能を高めることを目指す。全固体電池の高いエネルギー密度を生かして、軽くて薄い電池パックとしながらも大容量化できる特徴を利用した。さらに車体とシャシーと電池パックを統合することで小型化することも想定する。全固体電池の安全性の高さを生かす。

日産は、液系リチウムイオン電池の低コスト化も推し進める。コバルトフリー技術を採用することで、28年度までに1kWhあたりのコストを現行リーフ搭載品と比べて65%削減する。

30年度までの電動車比率の目標を示した。同年度までに15車種のEVを含む23車種の電動車を導入し、日産ブランドとインフィニティブランドで投入する車種のうち、電動車(EVとHEV)の比率を50%以上にすることを目指す。リチウムイオン電池の生産能力については、26年度までに世界で52ギガワット時(GWh)、30年度までに同130GWhへと引き上げる予定だ。

途中段階の26年度までにEVとHEVの合計で20車種を導入し、主要市場における電動車の販売比率を高める。欧州で75%以上、日本で55%以上、中国で40%以上にする目標を掲げた。米国については30年度までにEVだけで40%以上にする。

さらにEVのSUV「アリア」と同じプラットフォーム「CMF-EV」を採用しつつ、アリアよりも小さいとみられるEVのコンセプト「Chill-Out(チルアウト)」を披露した。

(日経クロステック 清水直茂)

[日経クロステック 2021年11月29日掲載]

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