NTT、シドニー工科大と提携 暗号技術や5Gを共同研究

NTTグループは30日、シドニー工科大学(オーストラリア)と提携したと発表した。暗号技術や高速通信規格「5G」に関連した先端技術、および製品を共同で研究開発する。今後はシドニー工科大学があるニューサウスウェールズ州のスマートシティー(次世代都市)づくりを共同で進め、海外のスマートシティー事業を強化する。
まずサイバーセキュリティー分野で協業する。NTTが特許を持つ「属性ベース暗号技術」を使ったデータ基盤の実証に取り組む。データ自身にアクセス制御などの機能を付ける技術で、個人情報を保護しながら情報を共有できるようにする。2021年度内に実証実験を始める。22年度以降、シドニー工科大学にNTTの暗号技術を使ったデータ基盤を導入する計画だ。
5Gの研究では22年度をめどに、NTTドコモと共同で「5G DXスクエア」と呼ぶ展示場をシドニーに設立する。5Gを活用したサービスの事例などを展示し、新サービスや製品の開発につなげる。
今後はシドニー工科大学との共同研究の成果を活用して、ニューサウスウェールズ州で都市全体の効率や利便性を高める。NTTとニューサウスウェールズ州は3月にスマートシティー事業で基本合意書を結んでいた。
NTTは携帯電話などの国内通信事業の成長が鈍化するなか、海外向けのスマートシティー事業を強化している。19年には米ラスベガス市で自動車の逆走件数を減らすシステムを導入した。海外での導入事例を積み上げ、23年度までに海外のスマートシティー事業で累計10億ドル(約1130億円)の売り上げを目指す。
(平岡大輝)