/

猛暑に備え PayPay「熱中症お見舞い金」が人気

日経ビジネス電子版

今年の夏は猛暑が続きそうだ。気象庁は6月28日までに、東北を除くすべての地域の梅雨明けを発表した。6月27日に梅雨明けした関東甲信地方に関しては1951年の統計開始以来、最も早い記録となり、梅雨の期間はわずか3週間と統計史上最短だった。

連日35度以上の猛暑日が続き、熱中症で救急搬送される人も増えている。東京消防庁によれば、6月25~27日の3日間でそれぞれ159人、102人、160人が熱中症で救急搬送された(27日は午後9時時点)。搬送者数は例年にないペースで増加しており、7~8月はさらに増えることが懸念される。

そんな中、部活動やレジャーなど、暑い中屋外で過ごす人たちの間で注目を集めている保険商品がある。スマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」のアプリにて、PayPay保険サービスが提供する「熱中症お見舞い金」保険だ。住友生命傘下のアイアル少額短期保険が開発した商品で、熱中症に特化した保険では業界初。熱中症になり、病院を受診した際の点滴治療や、2日以上の入院にかかる費用などが補償対象となる。

保険はアプリ内の「PayPayほけん」から申し込める。保険期間が1日単位で選択できる「期間選択型」と、1カ月単位で選択できる「月額型」があり、保険料は期間選択型が1日100円から、月額型が月額200円からとなっている。「月額型の方が保険料が割安なこともあり、申込件数が増えている」(PayPay保険サービス)

気になる補償内容は、期間選択型で加入した場合は治療保険金が1万円、入院保険金が3万円となっている。月額型で加入した場合は、支払う保険料に応じて受け取れる保険金の額も変わる。保険料が月200円の「お手軽プラン」の場合は、治療保険金が5000円、入院保険金が1万円だが、月240円の「安心プラン」になると、治療保険金は1万円、入院保険金は3万円になる。

熱中症お見舞い金保険の加入件数は先週末(6月25、26日)、その前週末(6月18、19日)と比べて約6倍と急増した。中でも、東京都心で最高気温35度以上と今年初の猛暑日を記録した6月25日は、加入件数が1000件を超えた。同保険は、当日午前9時までに申し込めば午前10時から保険期間が始まる。「今日は暑くなりそうだから保険に加入しておこう」と、天気予報を確認してから加入できるのも、この保険の特徴となっている。

点滴治療が保険金請求の条件

PayPay保険サービスによれば、熱中症お見舞い金保険は、部活動や課外活動などで子どもの熱中症を懸念する保護者などの間で知られるようになったという。実際に、申込件数の約25%は子どもが被保険者だ。

医療機関では熱中症の治療として、全身を冷やしたり、水分や電解質(ナトリウムやカリウム)を補給したりする。脱水症状を改善するために、失われた水分や塩分を点滴で補給するのが主流だ。そのため、熱中症お見舞い金保険では、保険金を請求するにあたり、点滴治療を受けているのが条件となる。

保険金の請求はPayPayアプリを通じて病院の「領収書」および「診療明細書」の画像をアップロードする。その後、保険会社は点滴の内容や治療方法などを領収書や診療明細書に記載の情報から査定する。査定が下りれば、保険金がユーザーの指定した銀行口座に振り込まれる。最短で請求当日には保険金が支払われる。

熱中症お見舞い金保険は、2006年に生まれた「少額短期保険(ミニ保険)」と呼ばれる枠組みで開発された保険商品だ。開業時に必要となる最低資本金が通常の保険会社に比べて少ないなど、参入へのハードルが低いため、少額短期保険を手がけている企業は現在100社を超える。保険業界の中でも数少ない成長分野だ。

商品開発の自由度が通常の保険よりも高いので、内容もバラエティーに富んでいる。代表的なものが、スポーツやアウトドア活動中の事故やけがに備える保険だろう。ユニークなものでは、スマートフォンの修理代や、自分が亡くなった際の葬儀代を補償する保険などがある。

最近では、新型コロナウイルスに罹患(りかん)したと医師から診断されると、一時金が支払われる「コロナ保険」が話題となった。想定以上に感染者が膨らみ、保険収支が悪化したため、保険料の値上げや保険金の減額を余儀なくされる会社が相次ぎ、問題となった。消費者のニーズに応じた迅速な商品開発が可能である半面、安易な需要予測で商品設計が甘くなりがちな、少額短期保険ならではの欠点が浮き彫りになった。

熱中症は、暑い日の外出を控える、冷房を適切に利用する、水を飲むといった事前対策である程度防ぐことができるため、コロナ保険のように予想を大幅に上回る保険請求が発生する事態は考えにくい。だが、少額短期保険ならではのメリットとデメリットをきちんと踏まえる必要がある。また、医療保険や傷害保険の中には、熱中症が保険金の支払い対象となるものも少なくない。熱中症になった際の公的医療保険での負担額や、自分が加入している他の保険の補償内容も確認した上で契約するかどうか、判断したい。

(日経ビジネス 馬塲貴子、武田安恵)

[日経ビジネス電子版 2022年6月28日の記事を再構成]

日経ビジネス電子版

週刊経済誌「日経ビジネス」と「日経ビジネス電子版」の記事をスマートフォン、タブレット、パソコンでお読みいただけます。日経読者なら割引料金でご利用いただけます。

詳細・お申し込みはこちら
https://info.nikkei.com/nb/subscription-nk/

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

日経ビジネス

企業経営・経済・社会の「今」を深掘りし、時代の一歩先を見通す「日経ビジネス電子版」より、厳選記事をピックアップしてお届けする。月曜日から金曜日まで平日の毎日配信。

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン