JAL、「サメ肌」形状でCO2%削減 機体表面を加工

日本航空(JAL)は28日、航空機の機体の表面を「サメ肌」状に加工し、空気抵抗を減らして燃費を向上させる技術を2023年度中に国内線で搭載すると発表した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)、オーウエル、ニコンと共同で開発。機体の大部分を加工して長距離で運航した場合、運航で出る二酸化炭素(CO2)排出量を最大で2%減らせる。
搭載する技術は「リブレット施工」。機体の外板の塗膜を凹凸状に加工し、空気抵抗を減らす。あらかじめ表面を加工したフィルムなどを機体に装着する技術はあったが、外板を直接加工する技術を航空機に使うのは世界で初めてという。
このほど、米ボーイングの小型機「737」の機体の一部を加工して飛行試験を行い、耐久性などを実証した。23年度後半から、より広い範囲を加工する技術を検証し、23年度中に国内線、24年度に国際線で搭載を目指す。25年度以降は採用する機数を増やす計画だ。技術の搭載で協力するボーイングの機材のみが対象となる。加工にかかる具体的なコストなどは明らかにしていない。
JALは50年度にCO2排出量を実質ゼロにすることを目指している。再生航空燃料(SAF)に加え、運航の工夫や低燃費機材の導入もカギを握る。リブレット施工で削減できる2%は燃料換算で7トンに相当し、羽田―ロンドンを片道運航できる距離という。
サメ肌形状を使った燃費改善は全日本空輸(ANA)も取り組みを進めている。ANAは加工したフィルムを機体に貼り付ける方式を採用して実際に運航している。

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