鉄連会長「エネルギー価格高騰が加速」 ロシア侵攻で

日本鉄鋼連盟(鉄連)の橋本英二会長(日本製鉄社長)は2月28日の記者会見で、ロシアのウクライナ侵攻を受け、「鉄鋼業界の最大のリスクは資源エネルギー価格の一層の高騰」と話した。原油価格がさらに上昇するなど足元で影響が表面化する中、コストアップを供給網全体で負担していく必要性にも言及した。
ロシアは天然ガスや原油を産出する世界有数の資源国だ。すでに世界的な脱炭素の流れの中、「グリーンフレーション」と呼ばれる資源エネルギー高が続いている。橋本会長は、ウクライナ問題により「この傾向は間違いなく加速する」と強調した。日鉄の社長として、「顧客の理解を得る努力が一層必要」など、鋼材価格の引き上げが必要との認識を示した。
ロシアとウクライナは鉄鉱石や石炭といった鉄鋼原料の輸出国でもあり、日鉄は鉄鉱石を焼き固めたペレットの14%程度を両国から輸入する。橋本会長は「原料調達ではロシア、ウクライナ産でなければならないということはなく代替は可能」とした。
さらに両国は世界上位の鉄鋼輸出国でもある。世界鉄鋼協会によると2020年のロシアの輸出量は3150万トンと国・地域別で世界2位、ウクライナは1520万トンで9位だ。橋本会長は鋼材市況の今後の動きについて、両国からの供給減に伴って高騰する可能性がある一方で、逆に通貨ルーブル安がロシアの輸出力の拡大につながる可能性もあるなどと指摘。「現時点で今後どうなるかは軽々に言えない」とした。