SKY-HI BMSGがリリースし続ける理由、ソロ・空気…
連載 SKY-HI「Be myself, for ourselves」(36)
今回は『日経エンタテインメント!』2022年3月号(2月発売)の連載からお届けする。SKY-HI率いるマネジメント/レーベルBMSGは、ソロアーティストの音源を立て続けにリリース。SKY-HIやNovel Coreだけではなく、Aile The Shotaやedhiii boiといった「THE FIRST」参加メンバーまでもが、だ。話は1月中旬までの情報を踏まえてのもの。その後もソロアーティストの進撃は止まらない。[「BE:FIRST」や「THE FIRST」についてはこちら]
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22年の年明けから、BMSGは怒涛(どとう)のリリースラッシュとなった。幕を切ったのは、1月5日のAile The Shota(以下、Shota)の1st Digital Single『AURORA TOKIO』。12日にはedhiii boi(エディボーイ/以下、edhiii)が1st Digital Single『NO』を、また1月18日生まれのedhiii、SOTA、Novel Coreの3人が誕生日に『118(Prod. SOURCEKEY)』を配信。26日にShotaが1st Digital EP『AINNOCENCE』をリリースし、1月を締めた。
21年10月にもBMSG感謝祭として毎週水曜に楽曲をリリースしたことがあったが、"感謝祭"と銘打たずとも、BMSGにとってこの活動は今後も"通常営業"なのではないかと思わせた。特に「THE FIRST」参加組であるShotaやedhiiiの展開は、予想よりはるかにスピーディーに感じられた。果たしてSKY-HI自身はこの展開をどう考えているのか。
「頻繁にリリースする背景には3つの理由があります。1つは、Shotaやedhiiiが『仕上がっていた』こと。すでに仕上がっているものを世に出さない理由がないじゃないですか。
世に出すことを考えたとき、2種類の考え方があると思うんです。片方は、最初に僕なりにBMSGにとっての理想的なタイミングを考えて、そこに当てはまるものを出すケース。21年にボーイズグループをデビューさせたくて、そのタイミングに間に合う方を探したBE:FIRSTは、これに当たります。もう片方は、シンプルに仕上がるのを待ったり、または仕上がっている人を発掘してきて出すケース。Shotaやedhiiiはきっかけこそ違えど、後者に近い2人です。才能の片鱗(へんりん)を感じてスタジオに入ってもらい、試しに1~2曲作ったらいい作品が出来た。ならば、今すぐ世に出しましょうと。
2つめは、彼らがソロだからということ。これはまたボーイズグループとソロの違いかなと思うんですけど、グループは予算に対する考え方が特殊だし、動く人の数も圧倒的に変わってきます。だから、そう簡単に新しいグループを生み出せるものではありません。もちろん、コストが掛かるぶん、ポジティブな側面が多いのも確かです。本人たちの1番の売りは、もちろん音楽ですが、ビジュアルの魅せ方も幅が広がるし、こだわって作れば、そのぶんの反響は大きく得られます。とはいえ、やはり思い付きで出していけるものでもない。
対してソロアーティストは、予算を掛けようと思えばいくらでも掛けられるし、逆に抑えたって、クリエイティビティーで工夫すれば、いくらでも面白いものが出来るんです。edhiiiのリリースで、それは証明できたかなと思います」
進学に影響するのはもってのほか
edhiiiは「THE FIRST」への参加が縁で、その後も積極的にSKY-HIにデモ曲を送った末に、BMSGとのアーティスト契約を14歳でつかみ取った中学生だ。『NO』のアートワークなどに、実物の彼は一切顔を出しておらず、ミュージックビデオは、本人をモチーフとしたコミカルでポップなキャラクターを立てたアニメーション映像で表現している。
「地方在住の中学生だから、無理に稼働させられないし、させたくはない。音楽活動で学業をないがしろにしたがために成績を落としたり、進学に影響があってはもってのほか。彼のお母様とも何度も電話でお話ししました。僕らだって大事に育てられた息子さんを預からせてもらっている責任は大きいです。デビューするからといって、必要以上に拘束するわけにもいかないので、MVは、edhiii以上にedhiiiらしいアニメ化したクリエイションを採用しました。
ソロの場合、リリースのスケール感に幅が利きます。いい作品が出来たら早く世に出したいほうが大事かもしれないですね。1つ目の理由にもつながりますが、ソロアーティストに必要なものがあるとしたら、やっぱりクリエイティビティーとアーティシズムとクオリティーを本人が担保していること。たまたまShotaやedhiiiが準備できていたから、デビューが早かった。そんなシンプルな話です。
3つ目は、『空気』です。BE:FIRSTとしてデビューしなかった『THE FIRST』の参加者に対する空気感は、センシティブに見ていました」
(次回に続く)

【過去の記事一覧と「BE:FIRST」についてはこちら】
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2022年3月号の記事を再構成]
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