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コロナが襲う大学スポーツ 資金確保のカギは支援法人

慶応大ラグビー部はジャージーで作るぬいぐるみを使い、寄付を募る
日経ビジネス電子版

新型コロナウイルスの流行下で、大学スポーツの資金確保が課題となっている。慶応義塾大学のラグビー部では、OBらが運営支援のために設けた一般社団法人が募金活動を急いで進める。持続可能性をいかに盤石にするか。ガバナンスなどの面も含め、支援法人の役割が増しそうだ。

慶応義塾大学のラグビー部は5月以降、あるグッズを返礼品にして一般の寄付金を募る。返礼品は、チームカラーである黄と黒のかわいらしいクマのぬいぐるみ。試合用のジャージーを再利用する。

このジャージーを着たいと願って慶応大の門戸をたたく学生もいて、神聖なものでもある。だが、「供給メーカーが代わって使えなくなったジャージーが倉庫に大量に眠っているのはもったいない」(高橋桃香マネジャー)という発想から、思い切って資金調達に活用する。

グッズの取り扱いなどを実際に担うのは、2018年に設立された一般社団法人「慶応ラグビー倶楽部」だ。社団法人は、特定の活動のために収益を得る非営利の組織。練習環境を整えたり、指導者を雇ったりとチーム運営のために法人を設立した大学スポーツの例として、他に京都大学と東京大学のアメリカンフットボールがある。

今後、様々なアイデアを実現させて資金を確保するために、法人設立への関心が高まりそうだ。税理士の高橋和也氏は実際に「問い合わせが増えている」と話す。

理由の一つは、コロナ禍で運営に逆風が吹いているからだ。ラグビーの場合、例えば関東では20年春の大学のリーグ戦は試合がなくなった。秋は開催したが、コロナ対策によって半数程度の試合で無観客となった。チケット、グッズの収入が減る。部費を払う新入部員の勧誘もままならない。

ガバナンス強化も課題

「コロナ下で黒字にするのは難しい」。慶応ラグビー倶楽部の専務理事を務める山桜(東京・中央)の市瀬豊和社長らは危機感を募らせてきた。倶楽部では今後、慶応大のラグビーの人材を活用したスポーツスクールなどにも注力しながら資金を得ていく。

強豪チームであるほど指導体制の充実にはコストがかかるため、有力とされるチームにとって支援法人を設立する意味は大きくなる。20年8月には日本を代表するサッカー選手、長友佑都選手の母校である明治大学では、サッカー部を支援する法人が設立された。グッズを販売し、サポーターズクラブを運営する。

大学スポーツを支援する法人に関心が高まるもう一つの理由は、運動部のガバナンス強化につながる面があるからだ。

京大アメフト部は16年に支援法人を設立したことにより、スポンサー10社以上から資金を得て、予算規模が2倍程度の年5000万~6000万円になった。支援法人の三輪誠司代表理事は「企業の支援を受けるために、日ごろの振る舞いや交流サイトの使い方に至るまで、選手のためにコンプライアンス研修を実施している」と話す。

法人を設けると、監督ら個人の名義で銀行口座を開くのではなく、法人の口座となり資金の流れが明確になることなどによっても、ガバナンス改善につながると見込まれる。

大学スポーツの世界は、実力を高めるために指導者をそろえたり、データ分析を進めたりと資金がますます必要になっている。運営体制を法人化し、選手らチームと二人三脚で活躍を目指す動きが強まりそうだ。

(日経ビジネス 西岡杏)

[日経ビジネス2021年4月26日号の記事を再構成]

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