半導体製造の仕上げ工程、化学各社が熱視線 まとめ読み
化学メーカーが半導体製造で仕上げにあたる「後工程」と呼ぶ市場に熱視線を注いでいます。ウエハーに回路を刻む「前工程」が主な市場でしたが、米インテルなど半導体世界大手が新技術開発に注力する新規の成長分野になってきたからです。チップを立体的に積み重ねて高性能にする「3次元実装」という技術も注目されます。世界市場は2026年に約5600億円と21年より3割増える見通しです。新たな商機を巡る動きをまとめました。
日産化学、前工程から後工程へ 背景に3次元実装

日産化学は半導体前工程の露光プロセスにおいて、正確に回路を刻むための「反射防止材」でアジアシェア7割を握ります。前工程を中心に半導体材料を展開してきましたが、後工程材料も拡充しています。背景にあるのは、半導体の性能を高めるためにチップを縦に積み上げる「3次元実装」です。
なぜ3次元実装に注目?回路の微細化は限界

これまで半導体は露光工程で刻む回路の線幅を細くすることで性能を高めてきました。しかし、この微細化の開発ペースは鈍化しています。半導体大手は回路を刻んだチップを複数枚縦に積み上げて性能を高める「3次元実装」に力を入れています。台湾積体電路製造(TSMC)は茨城県つくば市に研究開発拠点を開き、日本の装置メーカーや化学メーカーと3次元実装に必要な材料や装置の開発を進めます。
昭和電工も後工程で存在感 買収やコンソーシアムで
昭和電工は半導体前工程の回路形成などに必要な高純度ガスで世界首位です。20年には約9600億円を投じて、後工程材料に強みを持つ旧日立化成を買収しました。さらに、企業コンソーシアム「ジョイント2」を設立し、半導体製造装置のディスコやフォトレジスト(感光性樹脂)のシェアが高い東京応化工業など計12社が参加しました。3次元実装などを含めた次世代の半導体技術確立をめざします。

関連企業・業界