三井物産・コスモ石油、再生航空燃料の国内生産検討

三井物産とコスモ石油は28日、環境負荷の少ない再生航空燃料(SAF)を国内生産する検討に入ったと発表した。三井物産が出資する米社の持つ製造技術を取り入れ、コスモ石油の製油所内で2027年度までに年22万キロリットルのSAFを生産する方針だ。総事業費は数百億円規模を見込み、供給先など詳細は今後詰める。
三井物産が出資する米スタートアップ、ランザジェット(イリノイ州)が持つ、エタノールを触媒に反応させてSAFをつくる技術を取り入れてコスモ石油が生産する。エタノールはブラジルから調達し日本へ輸送する。
中期的には工場から出る排ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)などと微生物を反応させてエタノールを生成し、サトウキビからつくったエタノールを混ぜて原料にする。日本国内でもサトウキビの搾りかすなどからエタノールをつくってSAF生産に使用する方針だ。
コスモ石油は製油事業やジェット燃料の管理・供給で培ったノウハウを生かしてSAFの生産・販売に取り組む。生産時に副産物としてディーゼル燃料が年2万キロリットル生まれる見込みで、空港内のバスやトラックなどの燃料として販売することも検討する。
SAFはジェット燃料に50%ほど混ぜて使うことで燃料の製造から航空機の運航までに出るCO2の量を減らせる。エタノールや廃油、都市ごみを原料としてつくる手法があり、なかでもエタノールは「廃油などより調達がしやすいため大量生産に向く」(三井物産の担当者)という。
欧州連合(EU)や日本などは航空燃料の一定割合をSAFとするように環境規制を強めていく方針だ。これをにらみSAFの量産に向けた企業の動きが活発化している。ランザジェットは23年中に年産3万8000キロリットルの実証プラントを稼働させる予定だ。日本では三菱商事とENEOSホールディングスが共同生産の検討を進めている。