フジテック、創業家出身の内山会長を解職 大株主が批判
エレベーター大手のフジテックは28日、創業家出身の内山高一会長を同日付で会長から解職したと発表した。大株主で香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントが会社と創業家の間に疑わしい取引があると主張し、関係を絶つよう要求していた。
フジテックは理由を明らかにしておらず「開示がすべて」としている。内山氏との全ての契約を解除するという。
内山氏は同日、事実に反する主張で名誉を傷つけられたとして、オアシスやセス・フィッシャー最高投資責任者に対し、損害賠償を求めて提訴する意向を明らかにした。
またフジテックは同日、2月に開いた臨時株主総会に関連して第三者委員会を立ち上げて調査を始めると発表した。株主提案で選任を諮った社外取締役候補について、適格性や社会的信用を下げる行為や、辞退を求める働きかけなどの妨害行為があったとの情報があるため。妨害行為の有無やフジテック役職員の関与、妨害行為の第三者への依頼などについて調査、検証をする。
オアシスは2022年、フジテックと創業家の間に疑わしい取引があると主張。同年6月の定時総会に向け、内山社長(当時)の取締役再任議案に反対するよう呼びかけた。会社側は総会直前に議案を取り下げて内山氏を取締役から外したが、総会後に同氏を会長に就けた。「顧客との関係など事業への影響を最小限にとどめるためだった」と説明していた。
オアシスは会長任命を社外取締役が是認したのは株主への背信行為だと問題視し、22年12月、社外取締役の入れ替えを求めて臨総の招集を請求した。2月の臨総では社外取締役3人が解任され、株主提案の4人が選任された。
27日には2月に選任された社外取締役の海野薫氏が取締役会議長に就いたと発表していた。
内山氏は28日の記者会見で「オアシスによる会社支配が進む現状を憂慮しており、あらゆる手段を講じる決意だ」と述べた。名誉毀損による損害賠償請求訴訟を4月6日ごろに東京地裁に起こすほか、取締役会決議の無効確認訴訟や株主代表訴訟も提起する予定という。
内山氏は1976年にフジテックに入社し、2002年に社長に就任した。もともと関西地方を地盤とするメーカーだったが、00年代後半から首都圏での顧客開拓に本格的に取り組み、収益基盤の拡大につなげた。アジアを中心とした海外事業も強化した。
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