キヤノンの22年12月期、純利益14%増 監視カメラ好調 - 日本経済新聞
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キヤノンの22年12月期、純利益14%増 監視カメラ好調

キヤノンが30日発表した2022年12月期の連結決算(米国会計基準)は、純利益が前の期比14%増の2439億円だった。4年ぶりの高水準となる。業務用製品などの値上げ浸透や供給制約の緩和で部品や物流コストの上昇を吸収した。監視カメラなどの新規事業の売上高比率は全体の4分の1に伸びた。円安も追い風となった。

売上高は15%増の4兆314億円と5年ぶりに4兆円台を回復した。営業利益は25%増の3533億円だった。営業利益を事業別でみると、イメージング部門が61%増の1266億円だった。監視カメラは需要がマーケティング用や工場の生産管理などに広がり、関連ソフトなども伸びた。デジタルカメラは「EOS R7」などを投入し販売数が増えた。

円安も増益要因となった。平均レートは1ドル=131.66円と前の期から21.73円円安となり、営業利益を883億円押し上げた。部品の調達難や物流網混乱などで膨らんだコストを吸収した。

昨年10月時点の会社予想と比べると売上高、利益ともやや下回った。田中稔三副社長兼最高財務責任者(CFO)は30日の決算説明会で、昨年末の円高進行や部品逼迫の長期化、中国のゼロコロナ政策による装置設置の先送りなどが押し下げ要因になったと説明した。

同日、23年12月期の売上高は前期比6%増の4兆2870億円、純利益は11%増の2700億円になる見通しだと発表した。23年は「欧米で年後半から(金融)緩和の方向に政策のかじが切られ、景気回復を後押しする」(田中副社長)との見方を示した。足元の製品需要は底堅く推移しており、医療機器の受注残は前年より3割増えている。監視カメラなども需要増を見込む。

部品の供給制約も改善方向に向かっている。22年12月期は部品の需給逼迫などによるコスト増が602億円の減益要因だった。田中副社長は「(22年のコスト増加分を)完全には取り戻せないがコストダウンの方向に働く」と話した。23年12月期の想定レートは1ドル=130円と前期(131.66円)からやや円高方向に進むと見る。

半導体向けの製造装置を巡っては、米国による先端品の対中輸出規制に日本も足並みをそろえる見通しだ。キヤノンが手がける装置について田中副社長は「少なくとも(回路形成に使う)露光装置は規制の対象外になると理解している。直接的な影響は微々たるもの」と述べた。今後、規制強化の可能性もあるとして動向を注視するとしている。

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