イオン3~8月、純利益180億円 物価高で買い控え懸念
イオンが5日発表した2022年3~8月期の連結決算は、純利益が前年同期比4倍の180億円だった。新型コロナウイルス下での客足の回復でショッピングモールや総合スーパー(GMS)事業の損益が改善した。一方で物価高を受けた買い控えで食品スーパーは振るわなかった。消費者は節約志向を強めている。相次ぐ値上げが小売業の業績拡大の重荷になりつつある。

売上高にあたる営業収益は4兆4871億円、営業利益は958億円だった。今期から会計基準を変更したが、単純比較するとそれぞれ前年同期比3%増、23%増だった。営業収益と営業利益は3~8月期として過去最高だった。
8事業のうち5事業で営業増益または損益が改善した。春以降の行動制限の緩和で、ショッピングモール事業の営業利益は16%増の230億円だった。食品や日用品を割安に販売するドラッグストア事業も6%増の235億円と堅調だった。
主力のGMS事業は構造改革が進み前年同期から123億円の損益改善したが、電気代などの負担が増えて37億円の営業赤字だった。
今後の業績の重荷は相次ぐ値上げだ。帝国データバンクによると、主要メーカー約100社の10月の食品値上げは約6700品目に達し、22年の月別で最多となる。家計の負担は食品だけで年約7万円高まる見込みだ。

吉田昭夫社長は5日のオンライン会見で「今、買わなくてもいいと思う商品は我慢する傾向があり、住居関連や衣料品は売り上げが落ちる可能性がある」と語った。
食品スーパー事業は巣ごもりの反動と節約志向を受けて来店客数などが減っている。3月以降、傘下の食品スーパーの大半で既存店売上高は前年割れが目立つ。食品スーパー事業の営業利益は85億円で、前年同期から40%減少した。
強まる消費者の節約志向にも対応する。メーカーからの値上げ要請があっても、店舗のある地域の事情などを勘案して、すべての商品を値上げしているわけではない。7月には割安感のあるプライベートブランド(PB)でマヨネーズなど3品目を値上げしたが、約5000品目の大半の価格維持に努めている。今後の販売施策として、吉田社長は「特売などでイオンで買えば安いという意識を持ってもらうことが重要だ」と強調した。