Jフロントの23年2月期、純利益3.7倍 コスト削減
J・フロントリテイリングは27日、2023年2月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比3.7倍の160億円になる見通しだと発表した。従来予想を45億円上回る。新型コロナウイルスの感染再拡大で客足の回復が遅れ売上高は下振れするが、前期の店舗の入場制限に伴う助成金収入やコスト削減が寄与する。

売上高にあたる売上収益は4%増の3460億円と、従来予想を240億円下回る。7月以降、新型コロナの感染「第7波」の影響で客足の回復が鈍くなった。22年3~8月期の百貨店事業とSC事業の売上高が想定を下回った。
傘下の大丸松坂屋百貨店の8月の既存店売上高は、コロナ前の19年8月と比べて14%減、7月は同10%減だった。高額品や衣類の販売が底堅く推移するものの、既存店全体ではコロナ前の水準まで戻っていない。
営業利益は前期比2.5倍の235億円を見込む。従来予想を25億円上回る。前期にコロナ禍で入場制限を実施したショッピングセンターで助成金収入があった。売り場の人員効率化などで人件費も抑制した。持ち分法投資利益も増えた。
年間配当は31円(前期は29円)と従来予想を据え置いた。
22年3~8月期の連結最終損益は100億円の黒字(前年同期は19億円の赤字)となった。従来予想(60億円の黒字)から黒字幅が拡大した。売上高は前年同期比7%増の1680億円と、従来予想(1790億円)を下回った。
政府は新型コロナの水際対策を10月11日から緩和すると表明している。インバウンド(訪日外国人)消費の回復が見込まれる一方で「急激な為替変動や物価上昇による国内外の景気減速への懸念など、不確実性の高い状況」(Jフロント)としている。