鉄鋼連盟会長、隔年の春闘「妥当か考える時期に」

日本鉄鋼連盟(鉄連)の北野嘉久会長(JFEスチール社長)は27日の記者会見で、隔年で交渉する鉄鋼大手の春季労使交渉(春闘)の方式について「妥当かどうか労使ともに考える時期ではないか」と述べ、単年交渉などを視野に検討が必要との考えを示した。「個人の考え」としたうえで述べた。
鉄鋼大手は交渉の効率化などを目的に、2年分の賃金改善を隔年で交渉する方式を採用している。ただ急速に物価高などが進む中、物価変動を賃金に即座に反映しにくくなっており、毎年の交渉などへの見直しを求める声が労使の一部で上がっている。
北野会長は電力代の高騰で、鉄鋼業界全体で年間3000億円規模の負担となっているとの試算も明らかにした。2021年10〜12月と22年10〜12月の電力価格差を1年分の負担額に単純換算した。電力代の高騰分を鋼材価格に反映していく方針という。
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。
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