帝人、再生医療に使う細胞の生産拠点新設 千葉県柏市に

帝人は27日、傷ついた組織や臓器を治療し、がん治療にも応用される再生医療に使う細胞などの生産を受託する施設を千葉県柏市に新設すると発表した。10億円を投じ2024年1月の稼働を予定する。京都大学の山中伸弥教授が作製したiPS細胞など再生医療は今後本格化するとみられる。帝人は再生医療の開発製造受託(CDMO)事業で30年度にグループ全体で約70億円の売り上げを目指す。
施設の新設には、千葉県柏市にライフサイエンス拠点を持つ三井不動産、国立がん研究センターと帝人子会社で再生医療を手掛けるジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)と協力して進める。
再生医療では近年、がん治療に応用される事例も出てきている。免疫細胞を体内からいったん取り出して加工・培養して、体内に再び戻して治療する手法が開発された。スイス・ノバルティスの血液がん治療薬「キムリア」などはすでに販売されて高額な薬価がつく。このような手法では従来の治療に比べて研究開発や生産の難易度が高い。独自の生産方法を持つCDMOが研究開発段階から商用生産まで通して製薬会社などを支援する事例が増えている。
帝人は今後もCDMO拠点の拡充を進める方針だ。J-TECが従来持つ愛知県蒲郡市の拠点を生かすほか、山口県岩国市にも24年度の稼働を目指して新施設の準備を進めている。柏市の拠点への投資も合わせ、CDMO関連の総投資額は今後2~3年で35億円を見込む。
22年3月期のJ-TECのCDMOの売上高は3億円だ。帝人はグループ全体で30年度までに70億円に高める。