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米半導体復権へ総力 インテル、クアルコムから受託

先端半導体、「25年に首位」計画も表明

ゲルシンガーCEOは「25年に業界首位になる」と語った(インテル提供)

米国が半導体産業の復権に向け総力を挙げ始めた。米インテルは26日、技術説明会でスマートフォン向け半導体大手の米クアルコムとクラウド最大手のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)から生産を受託したと発表した。バイデン政権は国内生産への回帰を進めており、半導体を使用する関連産業や、国や地域も巻き込んだ総力戦になりつつある。

インテルは受託生産のビジネスに本格参入して成長市場を取り込む方針を掲げていた。今回、クアルコムやAWSなど新世代の半導体の受託生産を利用する企業の名を挙げての計画公表には「インテル1社を超え、米国を挙げて競争力を取り戻していくとの決意」(アナリスト)も見てとれる。

インテルはすでに200億ドル(約2兆2000億円)を投じ米西部アリゾナ州に新工場を建設すると表明。年内には米国、欧州での能力増強に向けた投資計画を公表する方針も示している。このほか、300億ドル規模で半導体受託生産世界4位の米グローバルファウンドリーズの買収に向け交渉していることも報じられた。

1990年代にパソコン向けのCPUで世界の半導体技術をけん引したインテルだが、00年代に入り勢いを失った。同社は開発から生産までを自社で完結する垂直統合型を採用したが、クアルコムなど工場を持たずに委託するファブレス企業が台頭。台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子などがスマートフォンなど最先端の半導体の量産技術を引き受ける形でノウハウの蓄積を進めた。

米国の半導体産業はファブレスの台頭と裏腹に生産能力を落としていった。米国半導体工業会(SIA)によると、世界の半導体生産(能力ベース)に占める米国のシェアは1990年の37%から20年には12%まで低下している。一方で90年に0%に近かった台湾は21%まで躍進した。

インテルの競争力の低下は半導体の国内基盤強化を掲げる米国の政策も左右する。TSMCやサムスンからの出遅れを挽回できなければ、先端半導体の生産が東アジアに偏る構図は変わらず、半導体産業のみならず、ITや軍事など幅広い競争力にも影響を及ぼしかねない。

米中関係の悪化や需給逼迫を契機に米政権は半導体の製造基盤を自国で確保する動きを加速しており、米議会上院は5年間で、米国内に工場や開発拠点を設ける企業への補助金など計5.7兆円を出す法案を可決するなど半導体の内製にカジを切っている。

「24年に競合の性能に追いつき、25年には首位となる」。パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は説明会でこう強調した。回路の線幅が7ナノ(ナノは10億分の1)メートル相当の製品を23年に出荷し、毎年、新世代の半導体製品を投入する方針だ。

性能引き上げに向けては、微細化以外での技術開発も急ぐ。24年に投入する半導体では基本構造を大幅に見直す。半導体を縦方向に積み重ねる3次元化といった技術も活用し、消費電力の抑制や性能の引き上げを進める考えだ。だが先行するTSMCはすでに線幅5ナノの半導体を量産し、22年にも3ナノの半導体を量産する構え。微細化で遅れてきたインテルの計画からは焦りもにじむ。

一端が垣間見えるのが、今後の開発計画に関する微細化の表現だ。半導体業界で性能の目安となってきた線幅が何ナノメールかという表記をやめた。例えばこれまで7ナノと呼んできた半導体は「インテル4」としている。電力効率や性能の全貌が分からなくなる、という理由だ。

実際にインテルの7ナノ半導体は5ナノに相当する能力を持つといった指摘もあるが、それでも開発競争に出遅れていることに変わりはない。最先端の半導体の開発競争で、同社が厳しい状況の追い詰められていることの裏返しでもある。

インテルは巻き返しに自信を見せるが、ハードルは高い。英調査会社オムディアの南川明氏は「TSMCに追いつくとしても3~4年はかかる。サンプルを作るまでは予定通りにいっても、量産できる歩留まり(生産性)を実現するのが難しい」と指摘する。

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