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ラストワンマイル配送を変革 スタートアップ95社

Nuro(ニューロ)が開発した配送用の自動運転車両
CBINSIGHTS
新型コロナウイルス禍でネット通販やネットスーパー、フードデリバリーなど宅配関連市場が拡大するなか、利用者に届ける最後の役割を担う「ラストワンマイル配送」の効率化が一段と求められている。企業は配送ルートの最適化やスマートロック、配送ロボといったテクノロジーの活用を進める。注目のスタートアップなどをCBインサイツがまとめた。

実店舗を持つ企業にとって、配送拠点から家庭までの「ラストワンマイル配送」は不可欠な存在になっている。電子商取引(EC)への需要がこれまで以上に高まっており、小売りや物流各社は配達スピードやコスト面で顧客の需要に応えられるよう、しっかりしたオムニチャネル(ECと実店舗を連動させ、顧客に一貫した体験を提供する仕組み)の受注配送戦略を採用しなくてはならなくなっている。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

もっとも、ラストワンマイル配送のコストはコスト全体の最大28%を占めており、消費者に転嫁されている。

このため、配送管理プラットフォームや配送ルートの最適化技術、都市部のフルフィルメント(受注、発注、梱包、配送、代金回収などの一連のサービス)などを通じ、ラストワンマイル配送を効率化するスタートアップが続々と登場している。

CBインサイツのデータベースを活用し、ラストワンマイル配送の最適化を手掛ける未上場企業約95社を抜き出した。

この市場マップには過去24カ月の間に資金を調達した未上場の存続企業を記載した。この分野の企業を網羅するのが狙いではなく、カテゴリーは重複している場合もある。

ラストワンマイル配送を変革するスタートアップ約95社

カテゴリーの内訳

オンデマンド配送 : このカテゴリーで資金力もなじみもあるのは、配達員が生鮮食品や料理、消費財を配達する企業だ。香港のララムーブ(Lalamove、調達総額25億ドル)やインドのスウィッギー(Swiggy、24億ドル)、コロンビアのラッピ(Rappi、17億ドル)など、このカテゴリーの多くのスタートアップの調達総額は10億ドルを超えている。各社は最近上場した米ドアダッシュや、年内の新規株式公開(IPO)を計画している米インスタカート(Instacart)と競合する。

荷物預かり・受け取りネットワーク : より安全に荷物を届けるために、荷物を保管するロッカーやスマートフォンで開錠できるスマート南京錠を手掛ける企業。こうしたロッカーを使えば荷物を各戸に配達せずに済み、宅配コストを削減できる。

スウェーデンのインスタボックス(Instabox、9200万ドル)はスーパーマーケットやショッピングセンターにスマートロッカーを設置しており、スウェーデンのアパレル大手ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)や同家具大手イケアなどEC大手の荷物をロッカーに届けてくれる。

オンデマンド倉庫・マイクロフルフィルメント : 都市部の小売りや消費財メーカーを対象に、必要に応じて倉庫での保管やフルフィルメントのサービスを提供する企業。地域にフルフィルメントセンターを持つことで顧客との距離が近くなり、ラストワンマイル配送のコストを抑え、複雑さを軽減できる。 

米ニューヨークに拠点を置くファブリック(Fabric、1億3600万ドル)は、ロボットを使ってオンラインの注文品を集める自動マイクロフルフィルメントセンターを店舗の裏に構築し、過密な都市部の配送を円滑化している。生鮮品配達の需要は拡大する可能性が高く、都市向けフルフィルメントサービスを採用すれば配送プロセスの効率向上が見込める。

米フレクゼ(Flexe、1億4400万ドル)や米フロースペース(Flowspace、4700万ドル)はフルフィルメントを現地化するため、空いている倉庫スペースを小売りや消費財メーカーに提供する倉庫のマーケットプレイスを手掛ける。

EC物流 : EC事業者にラストワンマイル配送、物流、フルフィルメントを提供する企業。インドに拠点を置くユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)のデリバリー(Delhivery、7億8300万ドル)はオンデマンド、即日、翌日配送オプションのほか、返品管理サービスを提供している。

配達管理プラットフォーム : 小売りの配達プロセスの最適化を支援するソフトウエア分析プラットフォームを開発する企業。イスラエルのブリング(Bringg、8500万ドル)の「SaaS」プラットフォームを導入すれば、リアルタイムのデータと人工知能(AI)を活用して荷物の追跡、配達ルートの最適化、車両管理、複数の顧客の注文をまとめて配達することなどが可能になり、顧客企業(小売り、食料品店、レストランなど)は配達業務を管理できる。ブリングのソフトは米ポストメイツ(Postmates)、ドアダッシュ、スペインのグロボ(Glovo)などのオンデマンド配送プラットフォームに採用されている。

クラウドキッチン : 宅配専用の共用調理施設「クラウドキッチン」は通常は配達ではなく調理に軸足を置いているが、消費者からの距離が近く、ラストワンマイル配送の複雑さを軽減してくれる。

アラブ首長国連邦(UAE)のキトピ(Kitopi、8700万ドル)は成長しつつあるクラウドキッチンのエコシステム(生態系)に属している。こうしたスタートアップは外食各社と提携し、ネットで注文した顧客に料理をつくって届ける。キトピは20年のシリーズBで調達した6000万ドルを元手に米国で事業を拡大する計画だ。

ドローン配送 : アイルランドに拠点を置くマンナ(Manna、500万ドル)のように、ドローン(小型無人機)を使った消費者向けのラストワンマイル配送の開発に取り組んでいる企業。米ジップライン(Zipline、2億3700万ドル)はドローンを使って医療物資などを配達する。同社は20年9月、健康・ヘルスケア関連商品のドローン配送を試験運用するために米小売り最大手ウォルマートと提携した。

無人の地上配送 : 労働コストを抑え、ラストワンマイル配送の効率を高めるため、無人配送技術の開発に取り組んでいる企業。米ニューロ(Nuro、公表している調達総額は15億ドル)や中国の新石器(Neolix、4300万ドル)などは配達専用車などの解決策を提供している。さらに、中国の小馬智行(ポニー・エーアイ=Pony.ai、11億ドル)などは配達用に使える自動運転の総合システムを開発している。

配送マッチング : 荷主と移動中の配達人をマッチングする企業。米ローディー(Roadie、6200万ドル)は法人や個人の荷主と、スペースに空きがあり、送ろうとする荷物と同じ方向に向かっている乗用車をマッチングすることで、全米でのラストワンマイル配送を提供している。

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