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伊藤園の22年4月期、純利益84%増 お~いお茶など回復

伊藤園が1日発表した2022年4月期の連結決算は、純利益が前の期比84%増の129億円だった。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ前の期から「お~いお茶」などのペットボトル販売が回復し、客足が戻ったタリーズコーヒー事業が黒字転換した。時短協力金など助成金収入20億円も利益を押し上げた。23年4月期は原材料高の影響を製品値上げで打ち返せるかが焦点になる。

22年4月期の売上高は4007億円だった。22年4月期から「収益認識に関する会計基準」を適用しており、基準をそろえた実質ベースでは3%増えた。本庄大介社長は同日の記者会見で「個人消費は持ち直しの動きがみられる」と説明した。

主要事業がそろって上向いた。「お~いお茶」ブランドではコロナ禍で高まった健康志向を背景に「濃い茶」をはじめとした機能性表示飲料の需要が拡大した。全体の販売数量が横ばいのなかで日本茶は3%伸びた。

タリーズ事業は売上高が実質ベースで14%増え、営業損益は8億6000万円の黒字(前の期は13億円の赤字)に転換した。都心や駅に近い店舗で客足が戻り、コーヒー豆の販売が伸びた。北米事業はスーパーなどでの販売が回復した。

営業利益は13%増の187億円だった。下期にかけて液糖などの原材料高や、原油高に伴うエネルギーコストの上昇が重荷で粗利率は低下した。一方でトラック積載の効率化などに取り組み、販売費及び一般管理費を抑えた。

23年4月期は売上高が前期比4%増の4180億円、純利益が7%減の120億円を見込む。コロナ禍による行動制限が解除され、助成金収入がほぼなくなるほか、原材料コスト上昇が27億円の減益要因になると予想する。これに対して「原材料高の影響は会社想定の2倍ほどに拡大する可能性もある」(大手証券アナリスト)との指摘があり、いかに吸収するかが焦点になる。

子会社のタリーズコーヒージャパン(東京・新宿)では4月、主要メニューを値上げした。国内飲料事業では7月から野菜飲料やティーバッグ製品などを4~15%、10月からは自動販売機を除く販売チャネルで主力の「お~いお茶」などペットボトル・缶製品を4~22%値上げする。小型ペットボトルの値上げは、増税時を除けば初めてになるという。

野村証券の藤原悟史リサーチアナリストは「飲料業界は店頭価格と希望小売価格に大きな差があるのが実態」と指摘する。各社は19年にも大型ペットボトルの値上げを表明したが、その後はシェア維持を目的に販売奨励金を積み上げ、結局は店頭価格に浸透しなかった。「今回は価格競争からの脱却が問われる」(藤原氏)

特に伊藤園は「お~いお茶」ブランドへの依存度が高い。飲料総研(東京・新宿)によると、21年の各社の出荷数量に占める首位ブランドの比率で、「お~いお茶」は43%だ。コカ・コーラグループの「ジョージア」が21%、サントリー食品インターナショナルの「天然水」が29%のなかで突出する。

サントリーやアサヒ飲料なども10月からの値上げを表明しており、販売競争の激化が見込まれる。伊藤園にとっては、値上げで採算を改善しつつ、屋台骨の「お~いお茶」の販売数量を維持する難しいかじ取りを迫られることになる。

伊藤園の株価は1日の終値で5600円と、21年9月に付けた高値から3割ほど安い。市場では「伊藤園はスーパーでの販売が多いため、価格転嫁がうまく進めば収益性の改善度も大きくなるのではないか」(国内証券ストラテジスト)との声もある。

本庄社長は「付加価値のある商品を売り場の前面に出す」と強調する。ヒットした「濃い茶」のように価格に見合った付加価値を浸透できるかどうかは株価反転のカギも握っている。

(八木悠介)

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