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環境負荷低い次世代型太陽電池を開発 24年に量産へ

京都大学の若宮淳志教授らの研究グループは環境負荷の低いスズを使い、高い変換効率を持つ次世代型太陽電池を開発した。「ペロブスカイト型」と呼ばれる電池で、欧州などで規制されている鉛の使用量を半分程度に抑えつつ、最高水準レベルの23.6%のエネルギー変換効率を確認した。同大発のスタートアップで2024年をめどに量産化する。

ペロブスカイト型は、太陽の光を吸収するペロブスカイト層などの各層をつくる材料を基板に塗り重ねる。フィルムを基板に使えば曲げられ、製造工程も簡単で安価に作れる。高速道路の防音壁など軽さや曲面が求められる場所にも設置できるため、再生可能エネルギーの普及のカギを握る新型太陽電池として期待されている。

研究グループはスズと鉛の2種類の金属を1対1で混ぜた材料を使った太陽電池を開発できた。作成したのは2.5センチ角で、500~800ナノ(ナノは10億分の1)メートルのペロブスカイト層と電極の間に1ナノメートル程度の薄膜をつくり、電気エネルギーの受け渡しが滑らかに進むようにした。極薄の膜はペロブスカイト層を塗り重ねる際に溶けてしまうなど作製が難しかったが、ペロブスカイト層をつくる材料内に薄膜をつくる物質を混ぜるときれいに積層できた。

高効率のペロブスカイト型では一般的に鉛が使われるが欧州で環境規制がかかる金属だ。代替材料としてスズが検討されているが、均一な膜をつくるのが難しいなど課題があった。開発した太陽電池は鉛を使うものの使用量は半分程度で、若宮教授は「欧州の規制にも対応でき、より生活空間に近い場所で使える」と話す。

若宮教授が最高科学責任者(CSO)を務めるエネコートテクノロジーズ(京都市)で、2024年をめどに実用的な30センチ角のパネルの量産体制を整えたい考えだ。今後は鉛を完全に使わない電池も検討を進める。

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