ヤクルト本社、5年ぶり高値 中国値上げ効果に期待
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26日の東京株式市場でヤクルト本社株が一時、前日比190円(2%)高の9500円とおよそ5年ぶりの高値を付けた。1月中旬までに中国での値上げが伝わり、同国事業の採算改善を期待した買いが集まった。終値は90円(1%)高と8営業日続伸した。

中国で乳酸菌飲料「ヤクルト」「ヤクルトライト」を1月から値上げした。上昇幅は主力の広東省広州市などで10%程度で、原材料高を価格に転嫁する。野村証券の藤原悟史氏は「今回の値上げは2024年3月期に60億〜70億円の営業増益要因になる」と予想する。
みずほ証券の佐治広氏は「中国のコロナ政策の転換とあわせて、値上げにより江蘇省の新工場の減価償却費負担などの吸収が期待できる」とみる。
国内事業では「Y1000」「ヤクルト1000」など高単価商品がヒットしており、23年3月期の営業利益率は18%の計画と高い。だが東海東京調査センターの荒木健次氏は「他社の類似商品の投入が相次ぎ、競争が激しくなっている」と指摘する。
予想PER(株価収益率)は29倍台と、明治ホールディングス(15倍台)や森永乳業(13倍台)を上回る。みずほ証券の佐治氏は今後について「『ヤクルトレディー』による宅配モデルを中国など成長市場に順調に展開できるかが焦点になる」と話す。
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