SKY-HI 僕らが目指すは「新しい普通」つくり出すこと
連載 SKY-HI「Be myself, for ourselves」(28)
今回も『日経エンタテインメント!』2021年12月号に掲載したSKY-HIへのインタビューから、前回「SKY-HI BE:FIRSTのために次なる『旗』を立てる時期」の続きを掲載する。「THE FIRST」からBE:FIRSTが誕生し、SKY-HI率いるマネジメント/レーベル「BMSG」も新たな1歩を踏み出す時が来た。前回の記事で「『THE FIRST』を起点にそれぞれの人生のストーリーが始まっている。それを続けることをファンの方も望んでくれていると思っている」と話したSKY-HI。今回はBMSGとしての「THE FIRST」の位置づけと、BMSGが掲げる「新しいカルチャー」について聞いた。[「BE:FIRST」や「THE FIRST」についてはこちら]

「応援してくれた人が何をしたら1番喜んでくれるか。それを考える判断材料は、今『THE FIRST』にしかない。そこはこちらも考えやすい状況だなと思います。作品をちゃんと作ることや必死で取り組むことなどやるべきことはたくさんあるし、でも、やっぱり嘘のないストーリーが大事なんですよ。
我々がやるべきことは、自分たちに嘘をつかず、どこにも媚(こ)びず、何かに迎合することもなく、何かを拒絶することもなく、自分たちのスタンスを自分たちで作り上げていくことかな。『THE FIRST』はBMSGにとっての最初のプロジェクトで、今はそこで見せた概念を貫き通すフェーズ。今後2~3年はそのストーリーをずっと続けていくことに重きが置かれると思います」
SKY-HIが率いるマネジメント/レーベルBMSGの規模も、「THE FIRST」前に比べると格段に大きくなった。第1号アーティストとして契約したNovel Coreに加え、今はBE:FIRSTの7人、さらには「THE FIRST」に参加したAile The Shota、REIKO、RAN、RUIらも合流。早くもBE:FIRSTの楽曲制作やSKY-HIのアルバムにBMSGのアーティストが関わるなど、音楽でコラボレーションする動きも活発だ。この数カ月で「BMSGができること」の可能性も大きく広がったように思える。
「『THE FIRST』中にも参加してくれた方々に伝えていたんですが、『THE FIRST』に参加して良かったと思ってもらうこと、BMSGと仕事ができて良かったと思ってもらうことが、彼らに対する最低限の関係性だし、必要な行為だと思っていました。そういう意味では今も『それぞれのアーティスト人生にとって1番いい形を一緒に考える』っていうのは、あまり変わってないですね。もちろん契約するアーティストの数は想定より当然増えているのだけれども、自分がBMSG設立の際にステートメントとして掲げたことが今ももちろん軸にあります。
僕らが絶対にすべきことは、US発祥の数々のそれやK-POPなど『カルチャー』と呼べるところまで作り上げられたものにリスペクトを示しつつ、我々は我々の文脈とストーリーとクリエーティブでカルチャーを作ること。Novel Coreがいたり、BE:FIRSTがいたり、Aile The Shotaがいたり、REIKOがいたり、RANがいたり……RANが入るグループは具体的にしっかり作りたい気持ちがありますし。そういうふうにいろんな才能がそれぞれの個性をフルに生かした状態で輝き続けて、しかもBMSGという大きなチーム全体でスクラムを組めている状態を作るだけかな」
「平たく言えば、『カルチャー』って、精神性や概念ですね。例えば、作品もその概念から生まれるアウトプットの1つであり、大事なのは『何ができたか』よりも『どういう意志で生まれたか』だと思うんです。自分が青春時代にラップミュージックやヒップホップに傾倒したのも、最初こそアウトプットとしての『作品』がカッコいいという部分でしたが、そこからさらにのめり込んでいったのは、その精神性や概念ゆえ。ヒップホップという概念そのものに傾倒したわけです。
具体的に言えば、我々が目指すべきは、既存の芸能のスキームにのっとってビジネスとして成功したり影響力を持つことではなく……もちろん最終的にそこも持てればベストですが、『ボーイズグループって普通こうだよね』『芸能事務所って普通こうだよね』『アイドル/アーティストって普通こうだよね』など、日本の芸能にまつわるあらゆる"普通"をぶち壊す必要があるのかなと思っていますし、自分がそういうのを見てみたい気持ちもある。どっちかというと僕は後者なんですけどね。"新しい普通"をつくることが『カルチャー』の説明としてふさわしいのかなと思っています。
所属アーティストが合同で行う『BMSGフェス』のような形態でのライブは、今後の夢として持ってますけど、ただみんなが持ち曲を持ち寄るという形でやればいいものではなく、ここでもやっぱりBMSGが大事にしたいのはストーリーです。
例えば『THE FIRST』の課題曲は、タイトルの頭文字で伏線を張っていましたが、『Be Free』や『Move On』、そこから最終審査の課題曲でBE:FIRSTのプレデビュー曲となった『Shining One』を経てからのデビュー曲『Gifted.』で最終的なメッセージを集約するとか、そういうストーリーは絶対にBMSGをクリエートするうえで大事にしたいことなんです。『BMSGフェス』をやるとしても、なぜその日その場で行われたかといった腑(ふ)に落ちるストーリーなり文脈なりが成立すれば、すぐできると思いますよ。明日やります!」(編集部注:冗談です)
(次回に続く)

【過去の記事一覧と「BE:FIRST」についてはこちら】
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2021年12月号の記事を再構成]
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