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5Gとは何か 通信規格の歴史から振り返る

CBINSIGHTS
高速通信規格「5G」への移行に企業や消費者から大きな期待が寄せられている。通信速度やデータ通信量が向上し、医療や輸送など現行の4Gでは扱いが難しかった産業で新たなサービスを提供できるためだ。通信規格を第1世代から振り返り、5Gはどのような特徴があるのか、CBインサイツがまとめた

第4世代移動通信システム(4G)はこの10年間、モバイル端末を使う世界中の消費者の多くにとって標準の技術になってきた。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

写真・動画共有アプリの米スナップや米インスタグラムなどのSNS(交流サイト)から米ウーバーテクノロジーズや米リフトなどの配車アプリに至るまで、多くの企業が現行の4Gシステムの確かな接続性と速度から大きな恩恵を受けている。

4Gはモバイル消費の新たな媒体に道を開いたが、限界もある。次の10年は、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」機器が増えるため、大量のデータをほぼリアルタイムで伝送するネットワークが必要になる。

次世代の移動体無線技術「5G」はまさにそれを可能にする。

5Gの商用サービスは2018年末、米通信大手AT&Tが国内12都市で5G無線ネットワークサービスを提供したことで始まった。その後は急速に広がり、今や米通信大手は国内全域で何らかの形の5Gを提供しているとうたっている。

企業幹部、5Gをなお強く意識 決算会見での5Gへの言及回数(16年7~9月期から21年4~6月期)

企業はこのテクノロジーにますます注目している。CBインサイツの決算会見記録ツールによると、19年以降に開かれた決算会見での5Gへの言及回数は数千回に上る。

フィンランドの通信機器大手ノキア、米半導体大手クアルコム、スウェーデンの通信機器大手エリクソン、米半導体大手ブロードコム、米通信大手ベライゾンはいずれも5G展開の影響や、関連技術・サービスの展開計画について話している。

移動体無線技術の成り立ちや5Gの導入、接続性について取り上げる。

移動通信システムの歴史

無線通信は100年以上前から存在しているが、消費者向け携帯電話のサービスが始まったのは1970年代後半~80年代前半だった。第1世代移動通信システム(1G)のサービスは音声通話のみだった。

第2世代(2G)では音声通話が改善され、ショートメッセージサービス(SMS)で短い文を送受信できるようになった(その後、MMS=マルチメディア・メッセージング・サービスにより長文や写真などを送受信できるようになった)。

2Gでは後にデータ通信サービスも提供されたが、モバイル端末でのインターネットの閲覧やビデオ通話など音声や動画、写真など様々な情報を扱うアプリを消費者が利用できるようになったのは、2000年代前半に3Gが登場してからだった。4G(4G LTE)は10年代前半に商用サービスを開始し、通信速度は最大約100Mbps(メガビット/秒)に達した。これにより、モバイルオンラインゲームや高精細な動画、グループビデオ会議、コネクテッドホームのサービス、さらにはAR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった新たな体験が可能になった。

もっとも、4Gの速度ではダウンロードにかなり時間がかかる。様々な情報を扱う媒体を無線で使える自由さを考えれば、これは大半の消費者にとって大した問題ではない。だが、輸送や医療などの業界にとっては、遅延(データが届くまでにかかる時間)はシステムに直接的な影響を及ぼす。これは5Gが大きな違いを生む分野の一つだ。例えば、低遅延によって自動運転車間のほぼ瞬時の通信が可能になり、コンマ1秒の差で死亡事故を防げる場合もある。

5Gは消費者の携帯電話の利用体験を向上させる一方で、主要産業を支える基幹システムにさらに大きな影響を及ぼし、未来のコネクテッド技術のインフラを提供する。

5Gとは

5Gは次世代の移動体無線技術だ。これまでのどの世代よりも高速で、通信状態や使われている技術にもよるが通信速度は最大3000Mbps(3Gbps)と光ファイバー回線に匹敵する。4Gで映画をダウンロードすると数分かかるが、5Gでは数秒で済む。

5Gはスマートフォンなどモバイル端末はもちろん、それ以外にも様々に活用される。例えば、IoTは業界が成長すれば、5Gの通信速度とデータ通信量から多大な恩恵を受ける。独調査会社IoTアナリティクスによると、20年の世界のIoT接続機器は推定120億台だった。25年には300億台に達し、世界の人口1人あたり4台以上になるとみられる。自動運転車、外科手術支援ロボット、重要インフラの監視は5Gで可能になるIoTの活用事例のほんの一部だ。

5Gの今後

ベライゾンやAT&Tなどの無線通信各社は今後、5Gサービスの提供範囲をさらに拡大するため、通信業界全体がこの変化に乗じようとするだろう。

クアルコムは20年後半、通信各社の5Gサービス拡大を支えるために5G向け半導体プラットフォームを発表した。一方、米ザヨ(Zayo)などの企業は5Gネットワークに必要なファイバーを敷設し、イスラエルのシクル(Siklu)などは無線用の固定アンテナやスモールセル(携帯電話の小型基地局)を手掛ける。

5G機器メーカーも5G導入で非常に重要な役割を担う。機器メーカーは5Gネットワークの拡大に対応する必要があり、無線ネットワークは対応機器の増加が必要になるからだ。

米アップルは20年、5G対応iPhoneをラインアップに加えた。

アップルストア(台北市内)

5Gサービスは何らかの形で広く利用可能になっているが(もっとも、5Gの顧客の多くはまだ5Gで技術的に可能になる超高速通信にアクセスできない)、大半の地域では4Gがなおしばらくは標準的なサービスになるだろう。

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