住友化学の21年3月期、一転増益に 米寒波で市況上昇
住友化学は26日、2021年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前の期比49%増の460億円になったと発表した。従来予想は35%減の200億円で、一転して増益となった。石油化学製品の市況が想定よりも高く推移したことや、医薬品事業で織り込んでいた減損損失の計上を見送ったことなどが寄与した。
売上高は3%増の2兆2850億円だった。従来予想から250億円上方修正した。
セグメント別では石油化学事業の売り上げが予想よりも200億円増えた。米国で2月に起きた大寒波の影響で現地化学メーカーの生産活動が滞り、石油化学製品の取引価格が上昇したことが貢献した。
機能材料事業の売り上げも当初の予想より50億円増えた。自動車タイヤに使われるレゾルシンがコンテナ不足やスエズ運河での船舶の座礁により、海外出荷に支障をきたすとみていたが、予想よりも影響が少なかった。
営業利益は微減の1370億円だった。従来予想に比べ270億円上振れした。米国で3月の天候が順調に推移したことを受けて、大豆農家向けの農薬の売れ行きが好調だった。
このほか2月時点で見込んでいた減損の一部を計上しなかった。子会社の大日本住友製薬で開発中の抗がん剤が、治験で主要評価項目を達成しなかったことから減損の予定を発表していたが、新たに急性骨髄性白血病に使える可能性が出てきたという。