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EV周辺スタートアップ台頭 充電ロボやワイヤレス給電

CBINSIGHTS
電気自動車(EV)市場の拡大をにらみ、関連システムを開発するスタートアップが増えている。特に活発なのが充電分野で、ワイヤレスで給電できる装置や充電ロボットを手掛ける企業が登場している。複数台のEV車両を効率的に運用するソフトウエアに取り組む企業も出てきており、EV関連市場の裾野がこれまで活発だった本体用の部品などからEVの利用を支える周辺分野へ広がりつつある。
日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

EVが世界の自動車販売台数に占める割合はまだ少ない。航続距離や充電インフラ、車両価格を巡る懸念が購入の妨げになっているからだ。

だが、EVは今後10年以内に普及すると予測する各国政府や企業は増えている。例えば、英国は2035年以降、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止する。中国は5年以内に新車販売に占めるEVの比率を25%にする目標を掲げている。

このため、このEVシフトに乗じようとするアーリー(創業初期)ステージのソフトウエアやハードウエアのスタートアップが増え続けている。各社が力を入れている分野は電池の状態分析から給電技術、充電インフラの管理システム、車両運行を効率化するソフトまで多岐にわたる。

今回はCBインサイツのデータベースを活用し、陸上の電動車両(EV、EVバン、EVトラック)向けテクノロジーを開発しているアーリーステージ企業約60社を抜き出した。なお、電動二輪車や電動スクーターのメーカー・シェアリングサービス、EVメーカー、車載電池メーカー、モビリティーサービス、EV充電網の運営会社は除いた。

カテゴリーの内訳

EV充電ソフトウエア:充電の操作を簡単にし、EV充電プロセスを最適化するシステムを開発している企業。充電スタンド運営会社、EV所有者、電力会社、EV運転手向けのアプリケーションがある。

充電スタンド運営会社向けシステムでは、スタンドのエネルギー利用やコストなどをリアルタイムで分析する。EV所有者や電力会社向けでは、米アンプアップ(ampUp)などのスタートアップが充電活動をモニタリングし、スマートな負荷管理により電気代を抑える機能を提供している。同社はモバイルアプリを持つEV運転手を対象に、充電スタンドを見つけ、充電料金をスムーズに支払えるサービスも手掛ける。

ワイヤレスEV充電:有線接続の要らないEV充電インフラを開発し、従来のインフラよりも利便性の高い代替手段を提供する企業。オーストリアのイーズリンク(Easelink)などは人口が密集する都市部の既存の駐車場に展開できる充電ケーブル不要の給電技術を開発している。駐車場を設計し直すことなく充電環境を改善できる。

移動型EV充電ロボット:EV充電ロボットは定置型の充電システムを設置するよりも柔軟な代替手段だ。ロボットがEVまで近づいてきて、自動または簡単に充電できるようにする。例えば、米EVセーフチャージ(EV Safe Charge)の充電ロボット「ジギー(ZiGGY)」は駐車場を予約する役割も担っており、駐車場の空きスペースを見つけて移動して場所を確保した上で、その場で充電できるように待機する。

EV充電インフラプロバイダー:パブリック、準プライベート(例:マンション)、プライベート(例:個人宅)向けの充電システムを開発している企業。こうした充電システムには通常、電気代を抑えるため動的に負荷を分散する機能や、運転手が充電スケジュールを調整できるアプリがついている。

各社はクラウド経由でソフトを提供するSaaSを使ったサービスなど、EV充電スタンドの運営会社やプロバイダー向けのシステムやサービスも手掛ける。

例えば、米ジール(Xeal)は期限付きの暗号トークン(電子商標)と分散型台帳により運転手のスマートフォンとEV充電器の間で直接情報をやり取りすることで、販売時にWi-Fi(無線LAN)経由でインターネット接続しなくても(支払いなどの)充電操作ができる技術の開発に取り組んでいる。このトークンにより、運転手はジールの全ての一般用充電スタンドを利用できる。

再利用バッテリーテック:交換が必要になった車載電池の再利用やリサイクルのシステム開発に取り組んでいる企業。車載電池は通常、寿命を迎えた時点でもなお80%の蓄電容量を持つ。

韓国のグリーンベース(Greenbase)など車載電池の再利用率を向上するための評価システムを開発している企業や、米ポッシュ・ロボティクス(Posh Robotics)などロボットの活用と自動化によりリサイクルプロセスを効率化している企業がある。

カナダのモーメントエナジー(Moment Energy)など、既存の車載電池を取り出して蓄電システムに転用している企業もある。

保有車両の管理プラットフォーム:テレマティクス(通信機能)と人工知能(AI)を搭載したルート選択・予測ツールを活用し、保有車両管理サービス会社がEVの稼働時間を最大化できるよう支援する企業。

こうした企業は通常、スケジュールや負荷の自動管理による充電の最適化や、車両のコストとエネルギー利用を予測できるエネルギー管理システムなどを提供している。米Synopなどのシステムには、電力需給のバランスを保つため、EVを使わないときに電力を蓄えて供給する「V2G(ビークル・ツー・グリッド)」機能も搭載している。

車載電池の管理・診断プラットフォーム:突然の故障を防ぐために、電池の稼働状況に加え、故障や停止期間に影響を及ぼす主な要因についてリアルタイムの情報を提供する分析プラットフォームを開発する企業。

英イートロン・テクノロジーズ(Eatron Technologies)はAIとクラウドコンピューティングを使って車載電池の問題を数カ月前に突き止め、寿命を迎えるまでの残り時間を診断する車載電池管理システムを開発している。

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