第一三共、乳がん治療薬「エンハーツ」対象拡大 欧州で

第一三共は26日、主力の抗がん剤「エンハーツ」について、欧州で乳がん患者の対象を広げる一部変更承認を取得したと発表した。開発進捗に応じたマイルストーンとして、共同開発・販売する英アストラゼネカから1億5000万ドル(約194億円)を受け取る。
承認されたのは、がん細胞の目印となるたんぱく質「HER2」が少ない「HER2低発現」と呼ぶタイプの乳がん患者。化学療法後に再発・転移した人らが対象になる。乳がん患者の約半数を占めるタイプだが、治療法が限られ病状が進みやすかった。

エンハーツが新たな選択肢となり、売上高の増加につながる可能性がある。米国では2022年8月に承認を得た。日本は23年中の承認取得を見込む。
エンハーツは第一三共が20年に発売し、がん分野に本格参入した主力薬。がん細胞に結合する抗体と、がんを攻撃する薬物を組み合わせた「抗体薬物複合体(ADC)」の技術を使い、薬の効き目を高くする。
米国の販売が好調で、23年3月期の売上収益は前期比3倍の2417億円を計画する。
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