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マイナー競技、インスタでスポンサー獲得 選手支える

妹の永井葉月さんはインスタを積極活用してスポンサー獲得につなげた(出所:公益社団法人日本ホッケー協会)
日経ビジネス電子版

東京五輪が始まった。日ごろはメディアに取り上げられにくいマイナースポーツの選手にとっては、五輪期間は世界に自身の存在を知らしめるショータイムだ。華々しい舞台で最高のパフォーマンスを発揮するために、日々苦闘を重ねてきた。

マイナースポーツの選手がストレスなく活動するには、スポンサーの存在が欠かせない。引退後の生活を支えるために、セカンドキャリアという課題も重くのしかかる。そうしたアスリートを支える1つの道筋ができつつある。人気SNS(交流サイト)、インスタグラムの活用だ。

姉妹で東京五輪の女子ホッケー日本代表「さくらジャパン」に選ばれた永井友理さんと葉月さんも、インスタを活用して自らのアスリート生活を充実させている。2人そろって2016年のリオデジャネイロ五輪から2大会連続で代表入りした。両親も元日本代表で、弟の祐真さんも男子ホッケー東京五輪代表という「ホッケー一家」に生まれ育った。

永井さん姉妹は12年にシニアの日本代表に選出されて以来、第一線で活躍してきた。10チームからなる国内の女子ホッケーリーグでは「ソニー HC BRAVIA Ladies」に所属している。「試合や遠征にも行けるし、恵まれた環境だ」と友理さんは語る一方、「メジャーなスポーツに比べると見劣りする面は否めない」と唇をかむ。

そんな彼女らの選手人生を支えるのが企業スポンサーだ。日本代表には損害保険ジャパンや立飛ホールディングスに加え、SOMPOケアや高島屋、花王、キッコーマンなどがスポンサーにつく。

永井さん姉妹のインスタグラム

それとは別に、永井さん姉妹を支援するのがアディダスジャパンだ。ホッケーで使うシューズやスティックを提供している。他にもビーガン(完全菜食主義者)食など、体調管理に役立つ商品の提供も企業から受けている。

選手個人にスポンサーがつくのは珍しくはないが、マイナースポーツでは企業と選手の接点は乏しい。その仲介役を果たしているのが、インスタだ。

姉の永井友理さんは、妹の葉月さんとともに女子ホッケー日本代表に選ばれた。リオ五輪に続いて東京五輪に臨む。(出所:公益社団法人日本ホッケー協会)

「ダイレクトメッセージ(DM)などで直接お声がけいただく機会も多い」と妹の葉月さんはほほ笑む。葉月さんのフォロワーは約3900人、姉の友理さんは約1900人。写真や動画を通して、自身の活動や人物像を積極的に打ち出し、ファンやスポンサーの獲得につなげている。

こうした動きは、永井さん姉妹に限らない。インスタグラムはアスリートにSNSの活用法をオンラインで教える「グローバル・アスリート・コネクト」をグローバルで展開。今では60を超える国と地域の選手が参加するなど、情報発信のインフラになっている。フェイスブック ジャパンでインスタグラムのパートナーシップを担当する綾尾康嗣氏は「ファンやスポンサーだけでなく、選手同士のつながりによるコラボレーションも生まれている」と語る。

インスタグラムは、アスリート向けにインスタ活用法を伝授する「グローバル・アスリート・コネクト」を開催する

日本ではJOC(日本オリンピック委員会)が中核となり、アスリート向けにインスタを使った取り組みをレクチャーしている。ビジネスアカウントの作り方やアクセス解析など、スポンサーやファン獲得に向けた使い方を指南する。

永井さん姉妹も19年にJOCの講座に参加してインスタ活用法を学んだ。「投稿時間や見やすさを工夫し、ファンや企業の方にも分かりやすいプロフィル作りを心がけている」と葉月さんはコツを語る。

一方で難しさもある。「商品を紹介してほしい」という依頼が多く舞い込むが、自身が勝手に紹介するとチームやリーグに迷惑をかけることになりかねない。きちんと周囲に相談する配慮も不可欠だという。

インスタの活用は、マイナースポーツ選手の引退後のセカンドキャリアにも役立っている。キャリア開発に成功したのが、オープンウオータースイミングの代表だった福岡康さんだ。ロンドン大会とリオ大会で2度の五輪出場を経験した後、20年1月に現役を引退。その後自らアパレルブランドを立ち上げた。現役時代に獲得したインスタフォロワーをつなぎ留めつつ、自らの新たな挑戦に役立てている。

マイナースポーツのアスリートの活動やセカンドキャリアの支援――。東京五輪で残すべき「レガシー」は、新国立競技場などのハードだけではない。

(日経ビジネス 白壁達久)

[日経ビジネス電子版2021年7月21日の記事を再構成]

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