ニコン Z 9 「プロ」が使えるミラーレス一眼の最高峰

ニコンからフルサイズミラーレス一眼カメラのフラッグシップ機「Z 9」が登場した。プロフェッショナル・フォトグラファー向けとなる数々の先進的機能を搭載し、「決定的瞬間」を確実にキャプチャーできる、真の「写真機」に仕上がっていた。ついに機械式のメカシャッターを「卒業」したプロ機の写りはいかに?
撮影で「失敗が許されないカメラ」
「Z 9」はニコンが放つ初めてのミラーレス・プロ機だ。「プロ機」とは主に報道やスポーツシーンの現場など、仕事として写真を確実に撮影しなければならないフォトグラファー用の「失敗が許されないカメラ」のことである。一眼レフ時代はフィルムの「F」とデジタルの「D」一桁シリーズがそれを担っていた。「プロ機」は動作に確実性が保証され、レスポンスもよく、連写・高感度性能に優れたものでなくてはならない。今回ようやくフルサイズの「Z」にそれが登場したのだ。
「Z 9」のスペックはものすごい。世界最多9種類の被写体を検出できるオートフォーカス(AF)性能は、人間だけでなくネコ、イヌ、鳥、クルマ、バイク、自転車、列車、飛行機まで検出でき、これらをカメラ任せで撮影できる。これによりフォトグラファーは構図とシャッターチャンスに専念できるのだ。「Dシリーズ」で定評のあった、被写体の動きを追尾する「3D-トラッキング」機能も復活したので、撮影はより快適になった。
ミラーレスカメラの弱点だった、電子ビューファインダー(EVF)のブラックアウト(ファインダー像の消失)もない。これは「Real-Live Viewfinder」というEVFで、シャッタースピードの条件によってファインダー内の像が消失しないので、シャッターを切った瞬間をしっかりと確認できる。また縦横4軸のチルト式タッチパネル対応モニターを装備しており、多彩なカメラアングルで撮影できる。
1秒間に最高120コマの連写が可能
スポーツに欠かせない高速連写性能も見逃せない。「ハイスピードフレームキャプチャ+」と呼ぶ連写機能を搭載し、何と最高120コマ/秒(画質はJPEG NORMAL)の撮影ができる。画質が「JPEG FINE(L)」や「高効率RAW」でも約20コマ/秒で1000コマ以上の連写が可能だ。
動画機能もミラーレス機トップクラスになった。高精細・高画質の「8K UHD/30p」の動画を2時間超も内部収録できる。これはミラーレスカメラとしては世界最長だという。「4K UHD/120p」動画でも最大125分までの内部収録が可能で、「ProRes 422 HQ」などプロ用のコーデック(データ圧縮規格)にも対応した。これはスゴい。
「Z 9」はこのように高スペックが満載だが、プロ機として最も大切な信頼性と操作性も抜群だ。何よりも起動が高速で即座に被写体を撮影できる。ダスト(ほこり)や振動対策もしっかりと施されており、防じん防滴耐低温性能はバッチリ。それでいて有効4571万画素での美しい描写性能を堪能できる。
このためZ9は世界中のフォトグラファーから熱烈なラブコールを送られており、半導体不足の影響もあって、入手まで非常に時間がかかる大人気カメラとなっている。発売は2021年12月24日だが、大手カメラ量販店の通販サイトでは12月末時点で「次回入荷予定が22年10月上旬」と表示されていた。
実際に使ってみると大人気もうなずける性能と仕様と感じた。「Z 9」はフルサイズミラーレス一眼の真のプロ機と言えるだろう。
次ページ以降で作例を紹介する。
有効4571万画素の解像感を存分に発揮





動体撮影がとても楽しくなるカメラ





iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影している。2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。http://sasurau.com/
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